第382章 行かないで!

雨宮由衣は冷水に長時間浸かり、震えながらようやく出てきた。

生まれ変わってからこんな目に遭うのは初めてだった。本当に覚悟を決めたんだな……

リビングに戻ると、由衣は数日かけて準備したものを全て大きなスーツケースに詰め込み、それを引きずって錦園に戻った。

タクシーで錦園に着いたのは深夜だった。

由衣はスーツケースを使用人に渡して2階に運ばせ、その後尋ねた。「九様はお戻りですか?」

「いいえ、結衣様。まだです」と使用人は答えた。

由衣は眉をひそめた。

このプロジェクトのため、庄司輝弥はほぼ3年間ずっと高強度の仕事を続けていた。最近は重要な時期で、毎日残業が続き、3時間の睡眠すら確保できない状態だった。

これでも由衣が隙を見つけては無理やり仮眠を取らせた結果だった。

彼の体調のことを知っていて、このまま続ければどうなるか分かっているのに、止められない……