第381章 苦肉の計

「お婆様、小百合にはよく分かっています。家の恥は外に出すべきではありませんから」

セレブはまだ何か言いたそうでしたが、やりすぎを恐れ、おとなしく老夫人に別れを告げて去っていきました。

セレブが去った後、老夫人の表情はいつもの落ち着きを取り戻していました。「相良、調べるように手配しなさい」

彼女は孫が無分別な人間ではないことをよく知っていたので、雨宮由衣の身元や過去について一度も問いただしたことはありませんでした。庄司家との身分の差を知っていても、孫が好きならば、この老いた身を賭けても彼の決断を支持するつもりでした。

ただし、その女性が九に対して誠実でなければなりません!

彼女は部外者の言葉を簡単には信じませんが、火のない所に煙は立たぬ、知ってしまった以上は放っておくわけにはいきません。

「かしこまりました」執事は応えました。

夜が深まっていきました。

老夫人は一晩中眠れませんでした。

翌朝、執事は最速で調べた資料を彼女の前に置きました。

「奥様、調査を済ませました。小百合様から提供された資料にある麻薬は、一度使用すると生涯依存症になるそうですが、雨宮様はここ2年間錦園に住んでおり、錦園のかかりつけ医によると、雨宮様の全身検査では、体は完全に正常で、麻薬注射の痕跡は一切ないとのことです。噂に過ぎないと思われます」

老夫人の表情が少し和らぎ、続けるよう促しました。

相良執事は続けて言いました。「不品行についても、証拠は全くありません。雨宮様の交友関係はとても純粋です。ただ...」

「ただ、何?」

「ただ、雨宮様が九番目の若様と知り合う前に婚約者がいたというのは事実です。しかし、これも雨宮様が九様を裏切ったとは言えません。なぜなら、九番目の若様と一緒になった時、雨宮様は本意ではなかったようで...」

この結果に、老夫人は明らかに意外な様子でした。結局、孫を好きにならない女性などいないのですから。

「では、以前の二人の仲睦まじい様子は何だったのですか?」

「それは...人には感情がありますから...おそらく付き合ううちに徐々に愛情が芽生えたのでは...」相良執事は言葉を選びながら答えました。