朝食後、一行は準備を整え、出発することにした。
あっという間に二日が過ぎ、道中は極めて平穏で、何の異常もなかった。
今回は二手の人員が同行しており、一方は影で、もう一方は影流を筆頭に表立って行動していた。
実際、今回の準備は万全を期していた。まして現在の庄司輝弥の身分と地位を考えれば、命知らずでもない限り虎の威を借るようなまねはしないだろう。
そのため、庄司輝弥の今回の外出は、ごく普通の出張として扱われ、誰も問題が起こるとは思っていなかった。
雨宮由衣だけが、目的地に近づくにつれて、心臓が締め付けられるように感じていた。
本来なら、このような人員配置であれば危険など起こりえないはずだった。しかし、誰があのような連中が現れることを予想できただろうか……
車内にて。
雨宮由衣は、隣で顔色の少し青ざめた男を見つめながら、「ねぇ、本当に人手を増やさなくていいの?私、なんだか胸騒ぎがして、何か起こりそうな気がするの!信じて!私の直感、本当に当たるのよ!」
同じ言葉を、この二日間、雨宮由衣は何度も繰り返していた。
現在の人員配置が最高レベルであることは分かっていても、まったく安心することができなかった。
庄司輝弥は何度も聞かされていたが、いらだった様子も見せず、少女を一瞥すると、言葉を発する代わりに長い腕を伸ばし、彼女を自分の胸に抱き寄せた。
温かい抱擁が彼女を包み込み、同時に手のひらで優しく背中を撫でた。
雨宮由衣は一瞬驚いたが、落ち着かなかった心臓が突然静まりを取り戻した。
顔を上げると、男が片手に書類を持ち、もう片方の手で彼女を抱きしめ続けている姿が目に入った。まるで彼女のために天地を支えているかのようだった。
「……」
男に抱かれ、まるで子供のように慰められている状況に、雨宮由衣の気持ちは複雑だった。
この人は、情が鈍いと言われるのに、時々突然悟りを開いたかのように振る舞う。
夜になり、車は次の町に到着した。
一行は近くのホテルに宿泊することになった。
深夜、庄司輝弥が幹部たちと会議中、雨宮由衣は一人部屋で眠れずにいた。
そこで思い切って起き上がり、井上和馬を探し当てた。
「雨宮さん、こんな遅くまでお休みにならないんですか?」