第391章 菊の花の凋落

影流はそう言い放つと、冷たい表情で手を振り払って立ち去った。

井上和馬はその場で気まずそうにフォローを入れた。「あー、影流はああいう性格なので、気にしないでください」

雨宮由衣は何も言わなかった。予想していたことだったからだ。誰も自分を信じないだろうと分かっていたし、自分の言葉が他人にどう思われるかも承知していた。

深夜、ホテル最上階のバーにて。

二日間連続で移動していた護衛たちは、バーで少しリラックスしていた。

一群の人々が酒を飲みながら話をしていた。

「ねぇ、聞いた?あの女、この数日間ずっと精神病みたいにBOSSの耳元で、BOSSに危険が迫っているとか言って、前に進むなって煽ってるらしいぜ」

「本当に自分を占い師だと思ってるのかな?」

「ふん!隊長の件は偶然当たっただけだろ!蘇我保司に腐れ縁があるって言ってたけど、もう二日経ったのに、蘇我は何ともないじゃないか?」

蘇我保司は冷笑した。「隊長の言う通り、女は災いの元だな」

みんながそう話している時、突然金髪碧眼の外国人が数人の方へ歩いてきて、蘇我保司の前に立ち止まり、彼の腰に下げられた刀に目を輝かせながら、かなり流暢な日本語で話しかけてきた。「わぁ、もし私の目が正しければ、これは日本の有名な江戸時代の刀ですね?」

相手が詳しそうなのを見て、蘇我保司は少し興味を示した。「外国人なのにこんなものまで知ってるのか?」

「ふふ、私は日本の文化が好きなだけでなく、日本の……も好きなんです」

「日本の何が好きなんだ?」

「なんでもないです〜」男は笑いながら言った。「私の家には日本の武器がたくさんあるんです。見に来ませんか?すぐ近くなんですが〜」

「本当か?いいね!」

……

翌朝。

雨宮由衣はほとんど一晩中眠れず、幽霊のようにふらふらと朝食を食べに降りてきた。

同時刻、ホテルのレストランでは。

大勢の男たちが、痩せ型の坊主頭の青年を真ん中に囲み、彼の肩を叩きながら、あれこれと慰めの言葉をかけていた。

「まぁ、落ち込むなよ。俺たちが間に合って良かったじゃないか。あのスケベ野郎も目的は達成できなかったし」

「誰があの外国人がゲイだって知ってたんだよ!しかも特に日本人の男が好みだなんて!刀を見るって口実で蘇我を家に連れ込むなんて!」