影流はそう言い放つと、冷たい表情で手を振り払って立ち去った。
井上和馬はその場で気まずそうにフォローを入れた。「あー、影流はああいう性格なので、気にしないでください」
雨宮由衣は何も言わなかった。予想していたことだったからだ。誰も自分を信じないだろうと分かっていたし、自分の言葉が他人にどう思われるかも承知していた。
深夜、ホテル最上階のバーにて。
二日間連続で移動していた護衛たちは、バーで少しリラックスしていた。
一群の人々が酒を飲みながら話をしていた。
「ねぇ、聞いた?あの女、この数日間ずっと精神病みたいにBOSSの耳元で、BOSSに危険が迫っているとか言って、前に進むなって煽ってるらしいぜ」
「本当に自分を占い師だと思ってるのかな?」
「ふん!隊長の件は偶然当たっただけだろ!蘇我保司に腐れ縁があるって言ってたけど、もう二日経ったのに、蘇我は何ともないじゃないか?」