第377話 お前が生理だろうが

雨宮由衣は意外そうに顔を上げた。庄司輝弥はセロリが嫌いなのか？

隅にいた影流は冷ややかに嘲笑った。「ご主人様の食事の好みも知らないなんて...」

「セロリ、食べないの？」雨宮由衣は庄司輝弥に尋ねた。

庄司輝弥は彼女を一瞥してから答えた。「ああ」

「そう...」

やはり秋山若葉の方が彼のことをよく知っているのだ。でも仕方ない、二度の人生を合わせても、庄司輝弥と知り合った時間は彼女には及ばないのだから。

雨宮由衣は箸を引っ込めて、別の料理を取ろうとした。

しかし、彼女が箸を引こうとした瞬間、庄司輝弥は平然とそのセロリを口に入れて飲み込んでいた。

雨宮由衣は一瞬固まり、不思議そうな表情で庄司輝弥を見つめた。「...」

食べないって...言ったのに？

影流の意地悪な表情は一瞬で凍りついた。「...」

井上和馬は密かに顔を覆った。こうなることは分かっていた...

重要なのは何の料理かではなく、誰が食べさせるかだ。

雨宮由衣が動かないのを見て、庄司輝弥は額に手を当てながら、問いかけるような視線を送った。続けてという意味だ。

雨宮由衣は瞬きをして、躊躇いながらもう一度セロリを箸で運んだ。

庄司輝弥は再び平然と食べた。

この時点で、周りの者たちは自分たちのボスが彼女を支持するために、秋山若葉の面子を潰すことも厭わないことを悟った。

ただのささいな出来事だが、親疎の差が明らかになったものだ...

部屋の中の人々は思わず秋山若葉の方を見たが、さすがにあの地位まで上り詰めた人物だけあって、彼女の表情は少しも変わらなかった。

食事の介助が終わると、雨宮由衣はそれ以上留まらず、すぐにソファーに戻って座った。

さらに30分が過ぎ、ようやく庄司輝弥は仕事を終えた。

「終わった？」雨宮由衣はすぐに顔を上げた。

傍らの井上和馬が口を開いた。「九様はまだ本社で会議があります」

雨宮由衣の表情が一気に暗くなった。「こんな時間に？なんで夜中に会議なんてあるの？」

井上和馬は軽く咳払いをした。「この会議は...かなり重要なものでして」

重要...また重要...

雨宮由衣は庄司輝弥に向かって尋ねた。「延期できないの？」

秋山若葉が横から説明を加えた。「今回の会議は本当に重要で、延期はできません。雨宮さんには庄司社長のことを理解していただきたいのですが」