第393章 薬を飲ませる

「そ、それでどうすればいいの！深刻な状態なの？」影流は一瞬パニックになった。

「とりあえず薬で維持しましょう。一時的な安定化しかできませんが、専門病院での詳しい検査が必要です！」医師は庄司輝弥に注射を打ちながら、すぐに医療バッグから薬を取り出し、庄司輝弥に飲ませようとした。

焦れば焦るほど混乱し、庄司輝弥に薬を飲ませることができなかった。

部屋の中は不安に包まれ、混乱状態に陥っていた……

そのとき、「バン」という音とともにドアが開いた。

一人が慌ただしく入ってきた。

雨宮由衣が寝室の入り口に着いたとき、ベッドに横たわる庄司輝弥の顔色が真っ青なのが見えた。部屋には井上和馬と影流などの幹部たちがいて、数人の医師も周りを囲んでいた。

医師たちは庄司輝弥に薬を飲ませようとしているようだったが、全く上手くいかず、水が庄司輝弥のワイシャツを濡らしていた。

医師は焦りながら、「どうすればいいんだ……」

ベッドの傍で見守っていた影流は心が乱れ、ドアの音を聞くと即座にイライラした声で怒鳴った。「誰だ？邪魔するな！」

雨宮由衣は意識のない男性を見つめ、顔に霜が降りたような表情で、素早くベッドの方へ向かった。

影流は雨宮由衣を見て、表情が一層険しくなり、冷たい目つきで言った。「出て行ってください！邪魔です！さもないと私は……」

雨宮由衣は彼を一瞥もせず、刃物のような鋭い視線を自分の前に立ちはだかる影流に向けて、「どけ！」

そう言うと影流を押しのけ、さらにベッドの前の医師も押しのけて、素早く彼の手から水と薬を受け取り、薬を自分の口に入れ、水を一口飲んでから、全員の視線の中で庄司輝弥の唇に重ねた……

庄司輝弥の喉が二度上下に動き、柔らかい舌で押し込まれた薬が無事に飲み込まれた……

始終わずか三秒のことだった。

全員：「……」

井上和馬をはじめとする幹部たちと医師たちは呆然と立ち尽くし、影流の怒りの表情さえも凍りついていた。

みんながまだ反応できないうちに、雨宮由衣はすでに棚から清潔な服を取り出し、素早く庄司輝弥のワイシャツを脱がせ、着替えさせていた。

雨宮由衣がこれらの厄介な問題を素早く処理するのを見て、全員がほっと胸をなでおろした。

「由衣様、ありがとうございます！」井上和馬は感謝の言葉を述べた。

医師も感謝を述べた。「由衣様のおかげです！」