第387章 ディープキスが欲しい

B国。

プライベートジェットが滑走路に静かに停止した。

一行はホテルへと向かい、今夜は少し休息を取ることにした。

B国は現在政情が不安定で、庄司輝弥たちが向かう場所までは空路が使えず、車での移動を余儀なくされ、全行程に約3日かかる。

丸3日間も道中にいて、経由する町々の状況も保証できない。彼らは全員が訓練を積んでいるため、そんな些細なことは気にしないが、一目で分かる甘えん坊で面倒な女性である雨宮由衣を連れていくとなると、皆の心中に不満が募る。

今回の交渉は非常に重要で、些細なミスも許されないのだから。

ホテルに着くなり、庄司輝弥は仕事モードに入った。

雨宮由衣は顎を支えながら彼のデスクの横に寄りかかり、「仕事!仕事!仕事ばっかり!そのパソコンの方が私より魅力的なの?」

庄司輝弥はキーボードを打つ手を止めることなく、横目で少女を見やり、少し顔を傾けて彼女の頬にキスをした。それが慰めのつもりだった。

雨宮由衣の表情が一気に曇った。こんな適当でいいの?子犬か子猫でも扱うみたいに。

雨宮由衣は真剣な表情で彼を見つめ、「ディープキスが欲しいの。3分間くらいの!」

庄司輝弥はようやく手を止め、その瞳に火種が潜むかのように少女を見つめ、そして「仕事が終わってから」と言った。

雨宮由衣:「……」

待って、なんですって!!!

雨宮由衣は完全に崩壊した!

彼に少しでも休ませようと頑張ったのに、この男の返事は本当に吐血もの!

この人がこんなに必死なのは一体なぜ?

まるで庄司輝弥の背後に何かが追いかけているかのような感じがする。

でも、一体何が悪魔を脅かすことができるの?

もうこんな生活は無理!

雨宮由衣はこれ以上いたら怒りで死んでしまいそうだと感じ、怒りながら部屋を飛び出した。

なんで怒ってるんだろう……

彼が自分でこうしたいって言ったんだし、私には関係ないはずなのに……

ロビーに着くと、雨宮由衣は影流たちのグループを見かけた。

雨宮由衣がロビーをうろついているのを見て、影流は即座に顔を曇らせ、「雨宮さん、B国の夜は安全ではありません。部屋にいた方がいいでしょう。何か起これば、私たちがあなたを助けに行かなければならなくなります」