B国。
プライベートジェットが滑走路に静かに停止した。
一行はホテルへと向かい、今夜は少し休息を取ることにした。
B国は現在政情が不安定で、庄司輝弥たちが向かう場所までは空路が使えず、車での移動を余儀なくされ、全行程に約3日かかる。
丸3日間も道中にいて、経由する町々の状況も保証できない。彼らは全員が訓練を積んでいるため、そんな些細なことは気にしないが、一目で分かる甘えん坊で面倒な女性である雨宮由衣を連れていくとなると、皆の心中に不満が募る。
今回の交渉は非常に重要で、些細なミスも許されないのだから。
ホテルに着くなり、庄司輝弥は仕事モードに入った。
雨宮由衣は顎を支えながら彼のデスクの横に寄りかかり、「仕事!仕事!仕事ばっかり!そのパソコンの方が私より魅力的なの?」