そして……
彼女の記憶が正しければ、井上和馬のすべての悲劇の引き金となったのは、今回の庄司輝弥暗殺未遂事件と密接に関係していた。
前世で庄司輝弥が暗殺されかけたという大事件で、庄司家は当然、首謀者を徹底的に調査することになった。
その調査の結果、内部の人間が関与していたことが判明し、会社に内通者がいたのだ。
そしてその内通者は……庄司輝弥が最も信頼し、頼りにしていた副官の井上和馬だった……
井上和馬の地位と影響力のため、当時の庄司家全体が動揺した。
その時、庄司輝弥は昏睡状態にあり、この事件の処理は老夫人、会社の幹部、そして家族の長老たちが行った。
複数の内部幹部による合同審査の結果、証拠は明白だと判断された。
設備が奪われ、護衛隊と暗殺衛士に甚大な被害が出て、死傷者が続出し、庄司輝弥本人も今なお昏睡状態。これほどの重罪に対する庄司家の裏切り者への処罰は想像に難くない。