第496章 私が引き継ぐ

井上和馬がまだ困惑した表情を浮かべている中、雨宮由衣は既に口を開いていた。「私を案内して」

雨宮由衣は言い終わると立ち上がり、出口へ向かって歩き始めた。

途中で、ベッドの上の男性が気になって振り返り、「まだ早いから、もう少し休んでいて」と見つめた。

庄司輝弥の声には、かすかな笑みが混じっていた。「うん」

井上和馬はぼんやりとその場に立ち尽くし、しばらくしてようやく我に返り、急いで雨宮由衣の後を追った。

後ろで、男は去っていく少女の背中を見つめ、その瞳には本人さえ気付いていない優しさが宿っていた……

雨宮由衣が去って間もなく、非常に軽い肉球が床を踏む音が聞こえてきた。

銀白色の影が音もなく男のベッドの前まで歩み寄り、おとなしく男のベッドの横の絨毯の上に横たわった。