第530章 週1回のデート

主動的に彼女のために並んでから、このキスまで……

以前、彼の資質を嫌っていたなんて、損をしていたわ……

このキスは終わったけど、庄司輝弥は彼女の指を握ったままで離さなかった。

その後の映画の内容について、雨宮由衣は全く頭に入らなかった。

うーん、やっとデートらしくなってきた……

大変だった……

映画が終わった後、雨宮由衣は新津香織と橋本羽が帰ったのを確認してから、庄司輝弥と一緒に上映室を出た。

ショッピングモールの外で、井上和馬は既に映画館の入り口で待っていた。

腕時計を見上げ、終映時間に合わせて広場の入り口を見ると、案の定、見慣れた二人の姿が見えた。

二人が近づいてくると、井上和馬は目を見開いた。彼は恐ろしいことに気づいた。自分の当主が雨宮由衣の手を自ら握っているのだ。

井上和馬は自分の目を疑った。他の親密な行動なら驚かないが、手を繋ぐような情緒的な行為は、当主にとってはまさに天方夜譚だったのだ!

昼寝をして、食事をして、映画を見て、手を繋いで……

彼は突然気づいた。当主がますます人間らしくなってきているようだ。

結衣様は本当に……すごい方だ……

二人が車の前まで来るまで、井上和馬はようやく我に返り、急いで車のドアを開けた。

車に乗ると、庄司輝弥はいつもの冷たい態度に戻った。

雨宮由衣は手柄を立てたような表情で近づき、「どう?外に出かけてみて、気分がよくなったでしょう?あなたは引きこもりすぎよ、もっと外に出るべきだわ!」

雨宮由衣は少し考えてから、続けて言った。「これからは少なくとも週に一回は出かけましょうよ?」

庄司輝弥はそれを聞いて、冷静な表情で軽く頷いた。「いいだろう」

前で運転している井上和馬は、当主の'私は冷静だ''私は全然期待していない'という表情を見て「……」

まあ、象徴的に信じておこう。

その時、車の中で携帯の着信音が鳴り響いた。雨宮由衣の携帯だった。

雨宮由衣は着信表示を見て、すぐに表情が変わった。

「まずい……橋本羽からだわ……どうしてこんな時に電話してくるの?もしかして先ほど何か気づいたのかしら?」雨宮由衣は心配そうだった。

庄司輝弥は少女を見て、「理論的に言えば、そうではないはずだ」

雨宮由衣は呆れた。

ねえ、この'理論'って、どこから出てきたの?