早朝、庄司家の試合場にて。
庄司家の幹部数名の他、井上和馬も早くから到着していた。
毎回の暗殺衛士の試合は、井上和馬が審判を担当していたが、今回は影流総隊長の位が変動したため、庄司家の幹部数名も井上和馬と共に審判を務めることになった。
この時、試合場は人で溢れかえっており、任務中で戻れない暗殺衛士を除いて、ほぼ全員が集まっていた。
しばらくして、十一は第一暗殺衛士部隊のメンバーと共にゆっくりと到着した。
十一たちを見て、影流を支持する数名の部隊隊長たちは、冷たい笑みを浮かべた。特に十一の傍らにいる雨宮由衣を見ると、その瞳には軽蔑の色が浮かんだ。
「ふん……十一は総隊長の座を狙っているが、本当に頭がおかしくなったのか、あの女を師匠に選ぶとは」
「まあ、しばらくその座に座っていたから、手放したくないのだろう。しかし実力が及ばない。暗殺衛士部隊の中で、彼が率いる第一暗殺衛士部隊は最も弱く、部隊隊長の中でも、十一の戦闘力は二流に過ぎない。そんな彼が、今回の総隊長を争おうというのか?」
十一が自信に満ちた表情を見せると、第三暗殺衛士部隊隊長は冷笑して言った。「無知な者が一番幸せなのだ。本当に自分が影流総隊長に勝てると思っているのか?人には自分を知る分別が必要だ。さもなければ、道化師と何が違うというのか?」
「あの女は、主を喜ばせる以外に何の取り柄があるというのだ。彼女がいなければ、影流総隊長が主に罰せられることもなく、十一が数ヶ月の得をすることもなかったはずだ」
「ふん……お前たち、これから十一が試合台に上がって、女の拳法を披露したら、手加減すべきか、それとも容赦なくいくべきか……」
「女の拳法か……雨宮由衣から学んだのか……」
「はははは……」
数名の暗殺衛士部隊隊長の嘲笑に、多くの庄司家の暗殺衛士たちも笑い声を上げた。
「全員黙れ!」
試合台の上で、井上和馬の瞳に冷たい光が宿り、一瞥で全員を見渡した。
その声を聞いて、数名の暗殺衛士部隊隊長は眉をひそめた。心中では不満があったものの、賢明にもそれ以上は何も言わなかった。
井上和馬に対して、これらの暗殺衛士たちはまだ恐れの念を抱いていた。井上和馬は普段は物分かりの良さそうな様子を見せているが、本当に怒り出したら、総隊長の影流でさえ太刀打ちできないかもしれない。