「隊……隊……隊長……感……感……感情を……抑え……て……」どもりは試合台の下に立ち、この試合をはっきりと見て、自分の考えを言おうとした。
「お前は……師匠に言ってもらおう……」十一は口角を少し動かした。
「は……は……はい……」どもりは頷いた。
「どもりが言いたいのは、感情に左右されないようにということよ。戦いの時は、喜怒哀楽をすべて捨てなさい」雨宮由衣が口を開いた。
「はい!」十一は即座に頷いた。
「もう一度!」雨宮由衣は十一に指を曲げて合図した。
「師匠、まずは師匠から攻めてみませんか?」十一は笑いながら言った。
雨宮由衣に学んでいるこの期間、雨宮由衣はいつも受け身で、先に攻めることはなかった。
しかし、雨宮由衣は首を振った。
先に攻めたくないわけではなく、実際には脅威を感じた時にのみ、体が本能的に反応するのだった。
もし自分から攻めれば、あの妙なる境地は、まったく現れない。
だから、今のところ受け身でしか戦えず、先制攻撃はできなかった。
「師匠、私が学んでいるのは受け身ばかりです……試合ではどうすればいいんですか?」十一は雨宮由衣を見て苦笑した。
雨宮由衣は顎に手を当てしばらく考えた:「それは簡単よ、相手に先に攻めさせればいいじゃない」
「これは……」十一は眉をひそめ、なんだか頼りないような気がした……
「何もわかってないわね、これは不変をもって万変に応ずるというの、武道の高度な技よ……」雨宮由衣は落ち着いた様子を装った。
「本当ですか……」十一は少し疑わしげだった。
「私が師匠なの?それともあなたが師匠なの?」雨宮由衣は不満げに言った。自分という武道の天才を、弟子が疑うなんて。
「師匠です、師匠の仰る通りです。私が愚かでした……」十一は急いで言い直した。
試合は続き、雨宮由衣は試合台の中央に立ち、十一に中指を曲げて「来なさい!」と挑発した。
雨宮由衣の挑発を受け、十一は目を見開き、拳を上げて雨宮由衣に向かって振り下ろした。
次の瞬間、雨宮由衣は左手を振り、極めて柔らかな力で十一の拳を弾き、すぐさま右拳を十一に向けて打ち出した。
「冷静にならなければ!」雨宮由衣の拳が迫る中、十一は深く息を吸い、すべての感情を抑えた。
「バン」!