広大な迷宮の通路の中で。
獣の咆哮のような叫び声が時折響き渡る。
銀と黄色が交錯する微光の下。
活力に満ちた強大な肉体があった!
「ドン!」
ロジャーの渾身の一撃と共に。
堅固な紅玉ゴーレムが陶器のように粉々に砕け散った!
「ガラガラ!」
石の破片が地面に落ちる。
空虚な反響を生み出した。
……
「紅玉ゴーレム1体を倒した」
「XPを獲得できない」
「上品紅玉の欠片×3を獲得した」
「硬化粘土を若干獲得した」
……
「くそっ!」
「経験値も属性も無しか、ただ働きさせる気か?」
ロジャーは不満げに呟いた。
これは恐らく迷宮の性質に関係している。
しかし「上品紅玉」は良いものだ、希少な素材の一つだ。
通常、これは上級構造体にしか存在しない。
仙宮の豪華さが窺える。
物欲しげなガーゴイルを無視して。
ロジャーは素早く別の紅玉ゴーレムへと向かった。
変身時間内に第二形態の細部を把握する必要があった。
紅玉ゴーレムのような単純な相手は練習に適している。
そして。
一群の猛者たちが見守る中。
ロジャーは一人で次々と紅玉ゴーレムと激しい格闘を繰り広げた。
……
「武術は何とか使えるが、効果は大幅に低下している。」
「気が封印されているため、スライディングも粉碎掌も使えないし、氣功師の特技も封印されている。」
「特技リストの半分が灰色になっているが、罪の印で得た特技は使える。」
「変身後は、雷電の術の攻撃効果が80%まで上昇した、これは悪くない!」
こうして、一戦また一戦、それほど激しくない戦いの中で。
ロジャーは黙々と経験を積み重ねていった。
十二体目の紅玉ゴーレムが轟然と崩れ落ちるまで。
彼は手を止めた。
第二形態の長所短所は非常に明確だった。
変身後、彼は小型の雷奔龍のようになる!
高いライフポイント補正を持つと同時に、100%の魔法抵抗などの優れた特性も引き継いでいた。
第二形態は速度が速く、力が強く、防禦力も極めて高い。
紅玉ゴーレムを殴る時、一撃で大量の電光を放ち。
紅玉ゴーレムは電撃でのたうち回った。
相手の多腕攻撃は鱗に当たっても痒い程度で、実質的なダメージを与えることは難しかった。
この特性により、第二形態は正面からの格闘戦に非常に適しており、一対多の戦闘能力も持っている。
しかし欠点も顕著だった。
それは反応が鈍く、やや不器用なことだ。
少しでも油断すると、相手に振り回されやすい。
また、攻撃の武器となる太い尾も、敵の突破口となる可能性がある。
……
総じて。
ロジャーはかなり満足していた。
第二形態は、身体の脆弱な彼の猛者版自分への全ての幻想を満たしてくれた。
この爽快な格闘を経て。
彼は自分の魂がすでに雷奔龍の形になったと感じた。
しかしすぐに。
彼は警戒心を取り戻した。
冷静さを取り戻し。
ロジャーは日増しに増大する格闘欲を抑え、部下たちに作業を指示した。
「三人一組で、分かれて行動しろ。」
「特殊な状況があれば報告するように。」
ロジャーは簡単に今後の計画を指示した。
情報が不足している状況では。
総当たりが唯一の解決方法だ。
類角魔たちはすぐに行動を開始し、秩序立って迷宮の各所に散っていった。
ロジャーは契約を通じて彼らのおおよその位置を把握できた。
猛者の部下たちが皆仕事を得たのを見て。
ガーゴイルは焦れったそうに足元にすり寄ってきた。
「お前は?」
ロジャーは笑みを浮かべて:
「お前は一人一組で、ゴーレム狩りに行け。」
ガーゴイルは驚愕の表情を見せた。
次の瞬間。
ロジャーは別のガーゴイル像を取り出し、迷わず「破壊」を選択した!
見慣れた黒い霧が立ち昇る。
真紅の眼が数回瞬きする間もなく、天から降ってきた一撃で地面に叩きつけられた!
ロジャーは容赦なく連打を浴びせ。
このレベル29のエリートガーゴイルを粉々に砕いた!
その死の瞬間。
眩い金光が腹から噴き出した!
「サッ」という音と共に。
数え切れないほどの銅令と銀角が降り注ぎ、小さな山となった!
その中には装備品や物品、巻物や書物も混ざっていた。
ロジャーは思わず「おお」と声を上げた。
霜冷のガーゴイルを見る目にも、悪意のある色が加わった。
後者は何も言わず、その破片の傍に飛んで行き、黙々と食べ始めた。
しばらくして。
……
「召使い:霜のガーゴイルの品質が上昇した」
……
「凜冬のガーゴイル LV40 魔獣/エリート」
……
同類を吞噬したガーゴイルは「凜冬」の接頭辞を得た。
ますます白竜に似てきた。
望氣術で見ると。
こいつは一気に三つのスキルを得ており、それぞれ「氷輪術」、「初級防具崩壊」、そして「同類召喚」だった。
氷輪術は理解しやすく、優れた制御魔法だ。
防具崩壊は亀甲戦士たちの天敵だ——もし早くこの能力を持っていれば、ジョニータートル狩りの効率はもっと上がっていただろう。
同類召喚については、確認してみると、今や3体のレベル20の初級ガーゴイルを召喚して使役できるようになっていた。
下っ端から親方になったというところか。
「これで三流に囚われることもないだろう?」
ロジャーは力強くその頭を撫でた。
後者は感動で体を震わせた。
大量の氷のエレメントが制御不能に拡散し、近くの床も凍りついた。
「行け、仕事だ。」
ガーゴイルに狩獵の指示を出した後。
ロジャーも適当に道を選び、迷宮に挑む長い旅を始めた。
……
四日後。
ロジャーは部下たちを連れて地下キャンプに戻った。
自ら第二形態を解除した後。
また魔物專門家としての日常研究作業を始めた。
こうして。
ロジャーは「魔物專門家」、「死霊の敵」、「迷宮の勇者」という三つの役割を右往左往する生活を始めた。
時が流れるにつれ。
森に出没する死靈術師は次第に少なくなっていった。
ロジャーのモンスター図鑑も516ページまで記録された。
森の外周の魔物はほぼ全て調査し尽くした。
残念ながら、より優秀な特性は見つからなかった。
森の更なる奥深くへの進入も、ロジャーは考えなかったわけではない。
しかし森の外周と深部の間には、果てしない「死の痕」があった!
それは既に干上がった河床だった——どんなに大きな雨でも、その上に痕跡を残すことはできない。
河床には累々たる白骨が横たわっていた。
死靈術師たちさえも近づく勇気がなかった。
ロジャーは知っていた。
この死の痕の下は、アランが以前言及した「ボンドレイ川」だと!
それはセラ川の昔の上流だった。
今は干上がっているが、セラ川と同じように危険だ。
誰も境界を越えることはできない。
ロジャーは以前、死の痕の状況を遠くから観察し、いくつかのデータを記録した。
現時点では、まだ手がかりは見つかっていない。
……
あっという間に。
ロジャーが原始林に入ってから五ヶ月以上が経過した。
雷奔龍という良き仲間の他に。
彼はここで大量の素材と数百種の魔物の情報を収集した。
しかし死の痕の存在により。
彼の研究は行き詰まりを迎えていた。
森にはもう新しい魔物は見つからなかった。
ロジャーは出発の時が来たことを知っていた。
「そもそも出発前にアランと約束した半年も近づいている。」
しかし出発の前に。
まだやるべきことが一つあった。
そう考えると。
ロジャーは慣れた手つきで仙宮の指輪を回し始めた——
前回、彼は実は迷宮の出口を見つけていたが、時間の制約で紅玉ゴーレムリーダーを倒せなかっただけだ。
今回は。
無限迷宮の第一層をクリアする時が来た!
……
ドドドン!
迷宮の奥から石の砕ける音が響いた。
全員での包囲攻撃の下。
紅玉ゴーレムリーダーも配下と同様に、わずかな紅玉の欠片と硬化粘土を残すだけだった。
ロジャーの前に現れたのは。
次の層への轉送門と光る石台だった。
石台の上には三つの光る物品が浮かんでいた。
これが第一層クリアの報酬だ。
ロジャーは一目見ただけで、最初の物品を掴んだ。
残りの二つの物品は瞬時に消えた。
石台もゆっくりと下降した。
ロジャーは手を開き、小さな金属カードを見せた。
……
「射手ライセンス」
「説明:火器を操る権限と能力を授かった」
……
「超凡の軀と射手ライセンスを同時に所持していることを検知、超凡武器神曲(ショットガン)が装備可能状態に変更された」
……