「地縛霊からの妨害が消えた」
ロジャーの胸が熱くなった。
片手をベッドの端に置いて。
音もなく立ち去ろうとした。
背後から物憂げな声が聞こえた:
「もう行くの?」
ロジャーはもう隠す必要もないと思い、素早く立ち上がって言った:
「ちょっとだけ出かけてくる」
「おばあちゃんが言ってたわ。男が『ちょっとだけ』って言うのは、もう二度と戻って来ないってことだって」
琴は布団に顔を埋めて、こもった声で言った:
「これって一緒に寝たってことになるのかな?」
ロジャーは驚いて色を失った:
「もちろん違う!」
「そう...」
琴は言葉を引き延ばし、しばらくしてから小さな声で:
「ありがとう」
ロジャーはほっと息をつき、大股で部屋を出て行った。
……
夜明けの刻。
春日谷の一角。
ロジャーはシャベルを振るう。
柔らかい土が次々と脇に積み上げられていく。
下から機械的な外見のスターシップポッドが現れた!
……
「ヒント:スターシップポッドを発見した」
……
シュッと。
射手ライセンスがポッドの溝をなめらかに滑った。
心地よい開封音とともに。
ロジャーの笑顔が凍りついた。
ポッドの中は空っぽで、何もなかった!
「誰かに持ち去られたのか?」
ロジャーは慎重にポッドに残された痕跡を調べた。
箱の底には鉛の塊がいくつか。
他に異常は見当たらない。
第六感のヒントがなくても。
ロジャーはすぐにその仕掛けを見抜いた!
彼は再びシャベルを手に取り。
ポッドの下を掘り進めた!
ザラザラと土が横に積み上がり、小さな山となった。
残念ながら今回はホーンデビル工事隊を連れてこなかった。
もし彼らがいれば。
この程度の時間で地核まで掘り抜いていただろう!
しばらくして。
ロジャーは力強く汗を拭った。
下から現れた新たな銀色の金属を見て、心からの笑みを浮かべた。
……
「ヒント:スターシップポッド×2を発見した」
……
ガーゴイルの助けを借りて。
ロジャーは重たいポッドを穴から持ち上げた。
「艦長も策士だな...偽装ポッドで本物を隠して、同じ場所に順番に投下するなんて」
ロジャーは期待を胸に二つ目のポッドを開けた。
艦長が偽装ポッドまで使って隠すものなら。
きっと本物の宝物に違いない。
「シュッシュッ...」
心地よい開封音が再び響いた。
ロジャーの目の前に広がったのは。
所狭しと並べられた手榴彈の数々!
様々な形状の手榴彈が上下六段の棚を埋め尽くしていた。
底には手榴彈の製作モジュールと原材料が置かれていた。
棚には分厚い本も一冊置かれていた。
ロジャーはその本を手に取って見た。
胸が高鳴った。
その本のタイトルは『優雅の原石』だった。
……
「新職業:彈藥專門家を獲得した」
……
「これだ!」
ロジャーははっきりと覚えていた。
神射手系統の進階職業の中で。
序盤から中盤で最強なのが「彈藥專門家」だ!
彈藥專門家の手榴彈は理不尽なAOEダメージを持つ。
彼らは最も包括的な火器の知識も持っている。
人手が足りない状況でも。
彈藥專門家は他の職業の代わりもできる。
スターシップの操縦や砲撃なども問題ない。
つまり、かなり万能で序盤が超強力な職業だ。
終盤については。
ロジャー自身が超絶な終盤戦士だ。
……
「まだおかしい」
「150個の手榴彈は確かに価値があるし、彈藥專門家への進階も魅力的だが、それでも偽装ポッドを使うほどではない...」
ロジャーは穴の底を見つめた。
頭を振って溜息をつく。
しぶしぶ作業を続けようとした時。
そこへ。
隣から素直な声が聞こえた:
「手伝おうか?」
……
深い穴の中。
小月熊がシャベルを振るい、一心不乱に掘り進める。
穴の縁で。
ロジャーはゆったりとお茶を飲みながら。
時々琴のシャベルさばきや掘る方向を指示する:
「そう、そこだ、もっと力を入れて」
「お尻を左に寄せて、そうすれば力が入りやすい」
「もう少しだ...」
可哀想な熊さんは二十分も使役された後。
変形寸前のシャベルがついに金色のポッドに当たった。
……
「ヒント:スターシップポッド×3を発見した」
……
「琴、頑張れ!君は最高だ!」
小月熊を励ましながら、ヒーヒー言いながら金色の「スターシップポッド」を上まで運ばせた。
ロジャーは待ちきれずに射手ライセンスでスキャンした。
三度目の開封成功!
漆黒の流線型のフォルムがロジャーの視神経を刺激した。
濃厚な金属の香りと潤滑油の匂いが立ち込めた。
この凶暴な野獣は静かに横たわっているだけだが。
まるでその咆哮が聞こえてくるかのようだった。
ロジャーの目の前に現れたのは。
れっきとしたバイクだった!
……
「鬼火の術(乗り物/超凡)」
「ランク:SSS」
「ドライブ:粗製原石」
「乗り物屬性:通常時速80~400キロメートル/時」
……
「モード1:山越え」
「山越え:このモードでは、鬼火の術は極めて高い走破性を持ち、適切な速度で最大79度の絶壁を登攀可能(エネルギー消費は通常モードの3倍)」
「モード2:水上歩行」
「水上歩行:このモードでは、鬼火の術は短距離の水上移動が可能、持続時間120秒」
「モード3:疾風迅雷」
「疾風迅雷:このモードでは、鬼火の術はフルスピードで突進し、最高時速800キロメートル/時に達する」
「要求:神射手の超凡進階職業」
「制限:空間アイテムに収納不可」
……
「装着済み-折りたたみモジュール」
「折りたたみモジュール:鬼火の術は半分のサイズに折りたたむことができ、便利な'ショルダーストラップ'が付いています」
……
「追加-次元トランク」
「次元トランク:整備モジュール搭載済み、容積7*5*5(メートル)」
……
これはマジでカッコいい!
唯一の欠点は、追加したトランクが大きすぎることだ。
デリバリーライダーみたいだ。
まだ乗りこなせないけど。
でも鬼火の術のトランクを開けるくらいなら問題ない。
ロジャーは少し手探りした後、無事中に入ることができた。
トランクの内部は避難所のメインルームのような空間だった。
バイクスタンド、通常の修理工具、軽度改造工房、整備スペース、洗車スペース……
様々な設備のせいで、この空間は少し狭く感じられた。
超常感知をフル稼働。
しばらくして。
ロジャーは角にある金庫を見つけた。
金庫は施錠されていなかった。
彼は手早く開けた。
第一層には複雑な機械のコアが置かれており、青白い光を放っていた。
……
「UFOコア(予備)」
……
「これはスターシップを作る上で最も重要な部品だ……」
ロジャーは素早くそのアイテムを手に取った。
彼の視線は第二層に向かった。
そこは空っぽだった。
しかし究極のハンターは人為的な痕跡を感じ取ることができた。
誰かが先に手を付けていた!
「艦長が来ていたのかもしれない。」
ロジャーは身を引き締めた。
……
「第六感:神性の気配を感じ取った」
……
「やはり神性に関係している。」
ロジャーの思考は素早く巡った。
事の顛末はおおよそ把握できた——
金庫の第二層にあった物が七血神の欲望を引き起こした。
スターシップポッドが設置された後。
穢血の神は聖霊顕現を使うことも厭わなかった。
春日谷を破壊した。
その後何が起こったのかは不明。
誰かがその物を持ち去ることに成功した。
しかし何らかの理由で。
ポッドの中の他の物には手を付けなかった。
最終的にロジャーの得になった。
……
第六感と望氣術でポッドの中の物が誰かに細工されていないことを確認した後。
ロジャーは拡張作業を始めた。
彈藥專門家は超凡職業で、基本職業の神槍手を含んでいる。
そのため拡張スロットを2つ使用する必要がある。
データ欄に。
……
「'彈藥專門家/神槍手'の拡張モジュールを獲得した」
「コーヴァス族の知識を通じて関連能力を学ぶことができるようになった!」
……
「火器の汎用知識が+20」
「新スキル獲得:手榴彈の使用、製作、保守」
……
「新特技獲得(神槍手):フルパワー」
「フルパワー(1環特技):火器使用時に一定確率でフルパワー状態になり、その状態ではオールステータスが10%上昇」
……
「新特技獲得(神槍手):戰術スライディング」
「戰術スライディング(1環特技):ダメージを回避する技、敵に対して軽々しく使用しないこと」
……
「新特技獲得(彈藥專門家):冷酷な心」
「冷酷な心(6環特技/自己適応調整):アイテム製作時に感情の揺れが一切なくなり、失敗率が理論下限まで低下」
……
大量の情報が画面をスクロールしていった。
神槍手のそういった小技については、ロジャーは気にしていなかった。
彼が気にしていたのは——
ついにバイクに乗れるということだ!
彼は意気込んで「鬼火の術」を起こした。
小月熊はのんびりと近づいてきて、鬼火の術の後ろを嗅ぎ、何度かくしゃみをして、好奇心いっぱいに尋ねた:
「これは何?」
ロジャーは少し考えて:
「一種の乗り物だよ。」
小月熊は考え込むような表情を見せ、すぐに熊の手を叩いて言った:
「あなたの言う乗り物って、こういうこと?」
そう言うと。
彼女の体が歪み始めた。
熊の皮を脱ぎ捨てると。
優雅で白い四本足、馬のような後ろ姿、そして人間のような上半身!
それは美しいケンタウロスだった!
ロジャーは琴と鬼火の術の間に立った。
視線を行ったり来たり。
最終的に。
彼は跨がった。
勢いよくスターターを回した!
「真の男ならバイクに乗るしかない!」
轟音とともに。
鬼火の術が咆哮を上げて飛び出した。
一瞬のうちに。
ロジャーは派手に転倒した。
……
「ヒント:バイクの運転技術が不足しており、現時点では鬼火の術を操縦できません」
……
「信じられない!」
ロジャーは顔中土だらけになりながら立ち上がり、執着心を持って鬼火の術を起こし、谷の中で狂ったように練習を始めた!
「俺に運転の天賦がないはずがない!」
轟!
轟!
轟!
春日谷の中で。
咆哮の音が次第に遠ざかっていった。
……
数時間後。
「一緒に行こう。」
ロジャーは顔中あざだらけで琴に言った。
この時。
彼は背中に黒棺を背負っていた。
黒棺の後ろには折りたたまれたバイクも縛り付けられていた。
予想外にも。
琴は軽く首を振った。
ロジャーは少し考えて。
言い方を変えた:
「今、荷物が多すぎて背負いきれないんだ。力持ちの仲間が必要なんだ。」
「君が適任だと思うんだけど。」
「一緒に旅をしないか?」
琴はおっちょこちょいな笑みを浮かべた。
頷いた。
しばらくして。
ロジャーは魔法の綱を引きながら、気楽に先導していた。
魔法の綱のもう一端はのんびりした小月熊の腰に巻かれていた。
彼女は左肩に黒棺を。
右肩にバイクを担いで。
とても安定した足取りで歩いていた。
……