密室の中で、許炎は馬歩を組み、骨錬を始めた。
功訣を運転するにつれ、気血が沸騰し、全身が温かくなり、気血が次第に強くなっていった。
そして全身の骨を巡る気血の龍は、より巨大になり、骨を巡る時の研磨力も増していた。
「やはり、赤眼虎は虎の王者、膨大な気血を蓄えているな!」
許炎は気血を運転し、錬成を始めた。
「錬成速度が大幅に上がった!」
気血の運転により、内外が一体となり、絶え間ない研磨の下、銅骨級が薄い金色を帯び始めた。
これは金骨級への蛻變の前兆だ!
「赤眼虎で煮出した補薬が出来上がれば、骨錬の速度はさらに上がるはずだ!」
「今のペースなら、遅くとも五日で第一回目の蛻變が完了できる!」
金骨級の錬成には、九回の蛻變を経て、はじめて円満に達する。
「もっと速くできるはずだ。今の私が理解している功訣は全てではない。もっと理解を深めなければ!」
「そうしてこそ、より早く金骨級の錬成を完了できる!」
許炎は目を固く決め、物我両忘の境地に入り、功訣の参悟を続けながら、骨の錬成を行った。
翌日、許炎は潘藥師が煮出した補薬と、処理済みの虎皮を受け取り、密室に戻って修行を始めた。
「やはり、錬成速度が上がった!」
「もっと多くの寶藥、気血を強める補薬を購入しなければ!」
許炎は興奮を抑えきれなかった。今の錬成速度なら、あと一日半で第一回目の金骨蛻變が完了できるかもしれない。
修行を終えた彼は、許家商會の管理人を探し、寶藥の買い付けを依頼した。
「金は天から降ってくるわけじゃない。なぜそんなに寶藥を買い込むんだ?」
昼食時、許君河は許炎を捕まえて叱り始めた。
「家の薬庫をほとんど使い果たしたな。あの九葉元芝はどこへ行った?千年人蔘はどこへ行った?
「この家の恥さらしめ、父を死なせる気か?
「世の中にそんなに寶藥があるわけないだろう?買い付けを頼むなんて、この話が広まれば、値段を吊り上げられるぞ?お前のような愚か者が買い付けていると知られたら、もっと値段を吊り上げられるぞ?」
叱られるのは一度や二度ではなかったが、許炎も自分の行動が家に損失をもたらすことは分かっていた。しかし今、武道が目前に迫っている。どんな代価も払わねばならない!
たかが金を失うだけだ。
彼が武道入門を果たし、本当に師匠の弟子になれれば、少しの金など何の価値もない。
許炎は助けを求めるような目で母親を見た。
「お母様!」
許君河は顔を青くして怒った。「何でも母親を頼るな、これは私が決めることだ!」
「そんな大きな声を出して、炎児を驚かさないで!」
許お母様は愛する息子の助けを求める目を見て、すぐに心が和らいだ。
不満そうに夫を睨みつけた。
「私は...」
許君河は老血を吐きそうになった。
「奥様、そんな...」
許お母様は眉をひそめて言った。「あなた、少しの金のことじゃないの、炎児が喜ぶならそれでいいじゃない。うちにそれくらいの金がないとでも?」
「それはもちろんない!この程度の金など、たいしたことではない。」
「それならいいじゃない。あなたの目には金しか見えないの?あれは私たちの息子よ!」
「私は...」
許君河は気力を失った。
「やっぱりお母様が一番!」
許炎はにやりと笑った。
許君河は髭を吹かし目を怒らせたが、許炎の高額な寶藥買い付けを黙認するしかなかった。
...
「第一回目の金骨蛻變が、もうすぐ完了する!」
許炎は気血の龍が全身の骨を巡り、骨に染み込んだ気血が既に骨髄まで養われているのを感じた。
しびれるような感覚が走り、ある瞬間、轟然と気血の龍が骨の中に流れ込み、骨髄の中へと入っていった。
瞬時に、許炎は膨大な気血が湧き出るのを感じ、全身の血液が生まれ変わったかのように、全身が昇華状態にあるかのようだった。
気血が新しく生まれ変わり、古い血が排出される。
第一回目の金骨蛻變!
気血が強くなるにつれ、全身から汗のように、ねっとりとした暗紫色の古い血が染み出てきた。
ある瞬間、全身が一気に軽くなり、全身の骨が薄い金色に変化した。
許炎は自分がより強くなったのを感じた。
今の実力なら赤眼虎を殺すのに、一撃で頭を粉砕できるだろう!
「これが金骨級か?」
許炎は拳を握り締め、全身に力が満ち溢れ、気血は倍以上に強くなっていた。
しかも、今の気血はより純粋で、より強大になったと感じた!
「九回の蛻變を経て金骨円満に達したら、どれほど強大になるのだろう!」
許炎は期待に胸を膨らませた。
「体が汚れた、洗い流さないと。これが血液の入れ替えというものか?気血の不純物を排出し、気血をより純粋にする。こうして武道の基礎がより堅固に、より純粋になる。
「師匠の言う古の天才とは、おそらくこの純粋さゆえだろう!」
許炎は今、心に悟るものがあった。
「気血の純粋さだけでなく、武道の心の純粋さも。心境が清明で、純粋無垢であること!」
「私は古の天才まであと一歩だ!」
許炎は密室を出て、着替えをし、体の汚れた血を洗い流した。
...
許家に戻って十二日目。
密室の中で、許炎の体から汗のように、薄い赤色の汚れた血が染み出てきた。
「これで第五回目の蛻變だ!」
許炎の目に興奮の光が宿った。この数日間、赤眼虎で煮出した補薬と、さらなる功訣の理解により、錬成速度が再び上がっていた。
今や第五回目の蛻變まで来ている。
全身の骨は既に金色に変化していた。
九回の蛻變を経て、真の金骨級に到達するまでもう遠くない。
そして、第五回目の蛻變により、体内からは既に汚れた血が出なくなっていた。
気血はほぼ完全に純粋になった!
「今の私の実力なら、現在の江湖の絶頂の高手でも、一撃で殺せる!」
許炎は興奮を抑えきれなかった。
彼の知る限り、現在の江湖の武術の高手たちは、彼にとってあまりにも脆弱だった。
一撃で殺せる!
たとえ名を轟かせている強者たちでも、同じことだ!
「傲慢になってはいけない。慢心を戒めよ。この世界には必ず他の武道の強者がいるはずだ。ただ深く隠れているだけで、おそらく凡俗の世界には姿を現さないだけだろう!」
許炎は心の中で自分に言い聞かせた。
「明日は帰らなければ。」
「今回は寶藥を買い付け、赤眼虎で煮出した薬もまだ残っている。もし功訣のさらに深い玄奧境を理解できれば、錬成速度はさらに上がるはずだ。」
許炎は密室を出て、明日の小さな山村への帰還の準備を始めた。
...
「明日で半月だ。あの愚かな弟子は、そろそろ戻ってくるだろうな?」
李玄は山の斜面に立ち、感慨深げにつぶやいた。
愚かな弟子が去ってから、何もかも自分でやらなければならず、のんびりとした日々ではなかった。
「悪煞の森の猛虎や凶獣は、殺されただろうか?
「もちろん、あの愚かな弟子が無事に脱出できて、悪煞の森で命を落とさなかったという前提でだが。」
李玄の心には多少の心配があった。
「どういうわけか、私の体が少し強くなった気がする。」
「寶藥の効果が、本当にこんなに強いのか?」
この半月の間、李玄は自分の体がより丈夫になり、力も増したように感じていた。
一時は自分に隠れた特殊能力があるのではないかと疑ったほどだ。
結果、それは考えすぎだった。
最終的な結論として、許炎が持ってきた寶藥の効果だと分かった。
彼は心の中で感嘆した。この世界の寶藥の滋養力は、本当に並外れているな。
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