許炎は練習を止め、顔には興奮の笑みが浮かんでいた。
「軽鴻身法と降龍掌を組み合わせることで、私の戦闘力は大幅に上がった。今の実力なら、十万の大軍の中でも自由自在に動き回り、万軍の陣中で将を討つことなど朝飯前だ!」
許炎は独り言を呟きながら、この時、心に傲慢さが湧き上がった。
心の中で冷笑した。「婚約破棄だと?私が頭が悪くて恥ずかしいと?言っただろう、いつか蔣家では私に及ばなくなると。今や本当にそうなったな。」
「東河大將軍だろうが何だろうが?斉国の皇帝陛下でさえ、もはや眼中にない。」
許炎は血気盛んな少年で、婚約を破棄され、嘲笑われ、心に怒りが残っているのは当然だった。
今や武道入門を果たし、実力も大きく向上し、斉国の武力値など、彼の目には土鶏瓦犬のように映った。
少年の傲慢さが、自然と湧き出てきた。
今の彼の心境では、かつて嘲笑った人々を見て、井の中の蛙で、天地の広さを知らない哀れな存在だと感じていた。彼らの嘲笑の言葉は、もはや耳に入らなかった。
互いに、もはや異なる世界の住人となっていた。
「弟子よ、こんなに短時間で身法を悟り、さらに降龍掌との組み合わせまで思いついたとは、見事だ!」
突然、背後から声が聞こえた。
許炎は驚いて振り返り、師匠が悠然と背後に立っているのを見た。
「師匠、いつからそこに?」
「お前が身法と降龍掌を練習し始めた時からだ。」
許炎は心の中で大きな衝撃を受けた。「全く気付かなかった。普段は普通の人のように見える師匠が、少し本性を見せただけで、自分の小ささを感じる!」
「いつになったら、師匠のように、まるで普通の人のようになれるのだろう。」
「これが師匠の言う、返璞歸真、大道自然なのだな!」
考えれば考えるほど、師匠の深遠さを感じた。
「弟子よ、今のお前の実力なら、凡俗の十万の軍の中で、自由に動き回るどころか、全滅させることさえ時間の問題だ!」
李玄は続けて厳しい表情で言った。「しかし弟子よ、覚えておけ。武道は殺戮にあらず。殺戮に溺れれば、それは魔の道に堕ちることとなり、最後には灰燼に帰すことになる。」
彼は自分の弟子が、少年の傲慢さと強大な力を持ち、斉国で無敵のような存在となって、増長することを心配していた。
これは良いことではない。