「辺境の地とは、一体どういうことなのだ!」
血無心は悔しさを抑えきれなかった。今、彼は遠路はるばる辺境の地に死にに来たような気分だった!
李玄は地面に倒れている血無心を見つめ、眉をしかめた。この武者はどこから来たのか?なぜ孟衝に手を出したのか、本当に孟衝が言うように呉皇様の差し向けた者なのか?
もし呉國から派遣された武者なら、呉國に劣らない実力を持つ斉国にも、武者がいるはずだ。そうでなければ、とっくに呉國に併合されているはずだ。
しかし、許炎が斉国で暴れまわっていたのに、武者は一人も現れなかった。
「おかしい!許炎が誰かと激しく戦っていたということは、斉皇が一息ついて、武者を呼び寄せたということか?」
これまで、斉国の武力値は非常に低かった。
様々な兆候から見て、武者は存在しないはずだ。そうでなければ、許炎が物語の伝説を信じ、あちこちで高人を探し、真の武道を修行しようとしたことで、頭がおかしいと嘲笑われることもなかっただろう。
李玄が孟衝に血無心の素性や、武道界でのレベルについて尋ねようとした時、許炎が飛んでくるのが見えた。
彼は眉を上げ、すぐに理解した。許炎と戦っていた武者は、もしかしてこの者ではないのか?
許炎は血無心が逃げた方向を追って来て、雲山縣城外で金龍が一瞬光るのを見た。彼は驚いた、これは師匠が出手したのか?
急いで駆けつけると、案の定、血無心が地面に倒れており、一匹の金龍が彼を取り巻き、しっかりと拘束していた。
「師匠!」
許炎は恭しく礼をした。
そして孟衝の手の傷を見て、驚いて言った。「師弟よ、彼に傷つけられたのか?」
「はい、師兄。師匠が戻って来てくださらなければ、私は死んでいたでしょう。」
孟衝は戦慄を覚えながら言った。
「こいつは、おそらく呉皇様が私を殺すために送ってきた者です!」
孟衝は歯ぎしりしながら怒って言った。
「それはないだろう。」
許炎は一瞬驚き、孟衝が誤解していることを悟った。
「お前は彼と戦ったな。話してみろ。」
李玄は許炎を見て尋ねた。
「はい、師匠!」
許炎は頷き、事の顛末を一部始終話し始めた。
京城に行って干からびた死体の真相を探ろうとした時、伝説の死霊の仕業だと思っていたが、違うことが分かり、どんな妖物が人を害したのか師匠に尋ねようと戻ってきた。