三人のゴブリン祭司は顔を見合わせ、それぞれ冷たく鼻を鳴らした。
「供物を先に隠して、外に出て何が起きているか見てみよう」
「同意だ」
「ふん!」
彼らは神血の結晶を神像の後ろに隠し、負傷したゴブリンの案内で神殿の外へと向かった。
深夜となり、空には玉盤のような銀月が浮かんでいたが、地上のゴブリンたちには、それを愛でる余裕など微塵もなかった。
この時のフィレンツェは、完全に混沌の渦に巻き込まれていた。
炎と叫び声が至る所に満ちあふれ、深い夜の闇の中で、もともと混乱していたフィレンツェの廃墟をさらに混沌とさせていた。
三人のゴブリン祭司が神殿の外に出たとき、ついにいわゆる「デーモン」の姿を目にした。
ゴブリンの視力は良くなく、特に夜間は顕著だった。侵入者の容姿ははっきりとは見えなかったが、闇の中で光を放つ瞳だけははっきりと見えた。
ゴブリンとは異なり、セイグス大陸のエルフには夜間視力があり、夜でもほとんど視界に影響がなかった。それは青い星の猫科動物に似ていた。そして彼らの目は、銀月の光を反射して輝き、幽かな光を放ち、夜の提灯のようだった。
その目に宿る残虐さ、貪欲さ、そして冷酷さ、さらにゴブリンを殺戮する際の歓声と不気味な笑い声は、まさに伝説のデーモンそのものだった。
「これは一体どんなモンスターなんだ?」
三人のゴブリン祭司は背筋が凍る思いだった。
一人が震えながら勇気を振り絞って詠唱を始め、照明の神術を発動した。
眩い聖光の下、広い範囲が一瞬にして明るく照らされ、侵入者の姿がゴブリンたちの目に完全に映し出された。
「エルフ?!」
狂気じみた興奮の表情を浮かべ、戦利品の曲刀や弓矢、さらには破れた衣服まで身につけ、全身が血で真っ赤に染まった大柄な者たちを見て、三人のゴブリンは同時に声を失った。
いや...これは本当にエルフなのか?
エルフは平和を愛する種族で、たとえ一族が最も困難な時期でも、ゴブリンに対しては追放するだけで、決して虐殺などしなかったはずだ!
しかし、この連中は...
一目見ただけで、祭司たちはエルフには決してないはずのものを彼らの中に見た...
貪欲さ、冷酷さ、無慈悲さ...
彼らはゴブリンを見るや否や、まるで獲物を見るかのようだった。
彼らは殺戮のための殺戮を行い、それどころか殺戮に興奮さえしていた。
狩りのために自分の怪我も顧みず、まるで傷ついているのが自分ではないかのようだった。
それだけでなく、ゴブリンを一匹殺すたびに、その持ち物を全て奪っていった。たとえそれがカビの生えた棒切れ一本や、腐りかけの破れ衣一枚であっても...
冬と狩りの神よ!これは地獄から這い出してエルフに化けたデーモンなのか?!
三人のゴブリン祭司は背筋が凍る思いだった。
そしてゴブリン祭司が照明の神術を使用した時、彼らの姿もまたエルフたちの目に留まった。
瞬時に、全てのエルフの目が輝きを増し、人を食らう巨獣のような眼差しに、ゴブリン祭司たちは心が凍りつく思いだった。
「祭司だ!ゴブリン祭司だぞ!」
「一体で50貢獻度!ソロキルで500だ!」
「どけ!俺たちの部隊が最初に見つけたんだ!」
「殺せ!」
「奴らは絶対いいものを持っているはずだ!」
エルフたちの声はさらに興奮を帯び、彼らは争い、叫びながら、潮のように三人のゴブリンに押し寄せてきた。
三人のゴブリンは即座に背筋が凍り、周囲の黒鐵級のエネルギーの波動を感じ取ると、すぐさま退却の意を生じた...
「退...退くぞ...神殿に戻れ!」
彼らは躊躇することなく、すぐさま転身して逃げ出した。
「絡みつけ――!」
しかし、二歩も走れないうちに、落ち着いた声が響き、魔力の波動と共に、手首ほどの太さの藤蔓が幾本も地面から突き出し、彼らに絡みついてきた。
三人のゴブリン祭司は心が凍りついた。
彼らは必死に避けようとしたが、一人が藤蔓に捕らえられてしまった。
「牧兄さん、見事だ!」
周囲のエルフたちから歓声が上がった。
捕らえられたゴブリン祭司は恐怖に襲われ、必死に呪文を唱え始めたが、声を発した途端、不思議な胸騒ぎが心を襲った。
危険...
危険が迫っている!
突然、冷たい光が閃いた。
背後をそよ風が吹き抜けたような感覚があっただけで、その後は何も分からなくなった。
頭部が宙を舞い、血しぶきが四方に散った。
そして同時に、曲刀を持ったエルフが静かにその死体の背後に姿を現した。
彼は全身を闇に隠し、表情は冷たく、一言も発せず、まるで無言の暗殺者のようだった。
「うおっ!一撃必殺だ」
「ヘッドショットだぞ!弁当さますげえ!」
「ハンター職ってこんなに強いのか...?」
周囲のエルフたちから感嘆の声が上がった。
暗殺者まで!?
逃げる二人のゴブリン祭司は振り返って見た途端、さらに必死に逃げ出した。
彼らは別々の方向に分かれ、左右に分かれて神殿へと走った。
逃げろ...
必ず神殿まで逃げ込まなければ!
神殿に逃げ込めば、生き残れる可能性がまだある!
二人の祭司が逃げ出すのを見て、全てのエルフが騒然となった:
「逃がすな!」
「遠距離魔法!遠距離魔法!」
「ドン...」
「ドン...」
激しい魔力の波動と共に、火球が爆発し、風刃が石を吹き飛ばした...
しかし、エルフたちはあまり熟練していないようで、遠距離攻撃の精度は非常に悪かった。
そしてこの時、左側を走るゴブリン祭司は再びそのデーモンエルフたちの叫び声を聞いた:
「咸ちゃん!適当に撃つな、右を狙え!」
「よく狙って、右側のを撃て!」
右側?
逃げるゴブリン祭司は右側の仲間を一瞥し、少し安心した。
一方、右側のゴブリンは恐怖で小便を漏らしそうになっていた。
しかし、左側の祭司が安堵する間もなく、巨大な火球が瞬時に彼を直撃し、轟音と共に飲み込んでしまった...
「はは、見事だ!」
「よくやった、咸ちゃん!」
背後のエルフたちから称賛の声が上がった。
そしてゴブリン祭司の意識の最後の一秒には、ただ一つの不満げな思いだけが残った:
違うだろ...右を撃つって言ったじゃないか?
二人の仲間の死を目の当たりにした最後のゴブリン祭司は、さらに必死に逃げ出し、使える神術を全て自分に掛けた!
そして二人の仲間の犠牲のおかげで、ついに彼は逃げ切り、神殿に逃げ込むことができた。
躊躇することなく、ゴブリン祭司はよろめきながら神像の前まで逃げ込み、慌てふためいて隠してあった神血の結晶を取り出した。震える手で儀式の準備を始め、同時に心の中の恐怖を押さえつけながら祈り始めた:
「寒...寒冬様を讃え、狩...狩猟を讃えます。偉大なる真神様、しもべ...しもべはあなたの助けを必要としております!」
言葉が終わるや否や、淡い光が神像の上に集まり始めた!