第1章 不思議な任務

「これが北アフリカへ行った報酬だ」

林じいさんは、丁寧に包まれたぼろ布から、しわくちゃになった百元札を二枚、横で期待に目を輝かせている林逸に慎重に渡した。

林逸には理解できなかった。自分が実行した任務はあれほど危険で、敵はあれほど強大で、依頼人が得た利益はあれほど豊かなのに、結局自分の取り分はこんなにも少ないとは。

じいさんは一体どこからこんな極品任務を引き受けてくるんだ?

毎回命懸けなのに、報酬はたった五十元、百元、それでもまだいい方で、三元や二元の時もあって...こういうことを思い出すたびに、林逸は泣きたくなった。

命を賭けて手に入れた二百元を受け取りながら、林逸が一番言いたかったのは、くそったれ!

孤児で、小さい頃から母親がいなかったけれど。

育ての親である林じいさんについて十五年間カンフーを学び、十五年間勉強して、文武両道の達人と言えるはずなのに。

古代なら文武両道の状元だったはずなのに、力仕事のように使われて...いつになったらこんな生活から抜け出せるんだ!

街で建設作業員として働けば年に数万元稼げるというのに、自分は毎日命懸けで、年収はたった千八百元...

「じいさん、俺をだましてないか?二百元?俺の報酬を着服してるんじゃないのか?」

林逸は一度ならずこのことを疑ってきたが、じいさんは自分と同じ服を着て同じものを食べ、金持ちには見えなかった。

「金がもらえるだけでもありがたいと思え。今時、金を稼ぐのがそんなに簡単だと思うのか?」

林じいさんは目を丸くして、不機嫌そうに言った。「何だ?要らないのか?要らないなら返せ。村はずれの王未亡人の食堂で久しく腹を満たしていないんだ」

「...」

林逸は目の前のやせこけたじいさんを思い切り殴りたかったが、手を出せば逆に殴られることは分かっていた。

林じいさんのカンフーがどれほど凄いのか、林逸自身にも分からなかった。

ただ、自分と修練する時はいつも全力を出していないことは知っていた。

自分のカンフーが一段階上がった時でも、突然気付くと、じいさんも一段階上がっていて、自分は相変わらず彼の敗北者だった。

「よし、この数年で十分鍛えられただろう。あの大仕事も、そろそろ時期だな」

林じいさんは目も上げず、炕に胡座をかいて、目の前の八角豆をパクパク食べながら言った。「この任務をうまくこなせば、一生食いっぱぐれることはないぞ!」

「本当か嘘か?」

林逸は、三歳の時にじいさんが廃品回収中に拾ってきて以来、じいさんについてカンフーを学び、医術を学び、外の知識を学んできたのは、ある大仕事のためだということを知っていた。

しかし林逸は、この大仕事の報酬が本当にじいさんの言うように、一つの任務で一生食べていけるほどあるのかどうか、とても疑わしく思っていた。

「私がお前を騙したことがあるか?」

林じいさんはまた一粒の八角豆を口に放り込んで言った。「行くのか行かないのか?行かないなら他の人を探すぞ?」

「行くよ、もちろん行くさ!」

林逸は心の中で思った。こんないい話、バカじゃなければ断るわけがない!

一つの任務で一生食べていける。これからはこんな命懸けの生活をしなくて済む。たとえ龍潭虎穴でも、命を賭ける価値はある!

「うむ、では行け。松山市の鵬展グループへ行って、楚鵬展という人物を探せ。彼が次にすべきことを教えてくれるだろう」

林じいさんの口元に気付きにくい狡猾な笑みが浮かんだ。「ただし、よく考えろよ。一度この任務を引き受けたら、最後までやり遂げなければならない。途中で投げ出すことは許されんぞ」

「なぜだ?危険なのに逃げることもできないのか?」

林逸は一本気な人間ではなく、死が確実な仕事は絶対にやらない主義だった。

「逸くんよ、俺はお前を十五年間育て、食わせ、飲ませ、ノートパソコンを買い、3Gカードを買ってやった...」

じいさんは目を剥いて、延々と愚痴を並べ始めた。「ちょっとした仕事を頼むのにそんなに文句を言うなら、お前を追い詰めるぞ!」

「くそっ!」

林逸はじいさんの言葉を聞いて腹が立った。「最初の三年は確かにじいさんが育ててくれたけど、六歳からは俺が料理を作り、薪を割り、草履を編んで金を稼いでじいさんを養ってきたんだ。じいさんこそ俺を追い詰めないでくれ!」

「お前が夜中にこっそりパソコンで黃級を見てるのを知らないと思ってるのか!」

じいさんは目を見開いて言った。「これはお前が言わせたんだぞ!お前はパソコンの前で...」

「分かったよ...行くよ...逃げ出したりしないから、それでいいだろ?」

林逸は顔を赤らめた。こんなに隠密に行っていたことまでこの老いぼれに気付かれていたとは、本当に恥ずかしい。

このまま話を続けさせたら、きっと未成年禁止の場面まで暴露されかねない。

こうして、林じいさんの脅しと誘惑の下、林逸は荷物を背負って北上の列車に乗り、遠路はるばる松山市へと向かった。この現代的な国際都市へと。

列車の中で林逸は考えていた。これからはエロ動画を暗号化して、システムファイルフォルダに隠さなければならない。あの行為をする時も、六方を警戒し八方に耳を澄まさなければならない。

しかし、今回の任務について林逸はとても期待していた。一つの任務で引退できるという良い話は、夢にまで見た願いだった。

確かに林じいさんの言葉から察するに、この任務は簡単ではなさそうだった。

うん、簡単じゃないからこそ挑戦しがいがあるんだ!

「パチッ」

林逸の向かいに座っているあばた面さんが缶コーラを開け、プルタブをテーブルの上に投げ捨てた。

男の隣にいた坊主頭さんは、さりげなく装ってそのプルタブを拾い上げ、手の中で弄んでいたが、突然大声で叫んだ。

「わっ!わっ!わーお!一等賞だ!」

坊主頭さんの声は騒がしい車内ではそれほど大きくなかったが、近くに座っていた乗客たちは皆彼の方を見た。

あばた面さんも例外ではなく、坊主頭さんの手の中にあるプルタブが自分が捨てたものだと気付き、顔色が不自然になった。「返してくれ、それは俺のだ...」

「何が俺のだよ?どこにお前の名前が書いてあるんだ?」

坊主頭さんは右手を引っ込めて、プルタブをしっかりと握りしめ、目を見開いて言った。「お前の名前は一等賞なのか?」

「いや...俺は一等賞じゃない...でもあの一等賞のプルタブは俺が捨てたものだ...」

あばた面さんは坊主頭さんの恐ろしい顔つきを見て、少し怯えながらも、自分の権利を諦めきれず、おずおずとプルタブを見つめた。

「お前も言ったじゃないか、お前が捨てたって。捨てたものは、拾った人のものだろ」

坊主頭さんは鼻を鳴らし、軽蔑したように言った。

「ちょっと、そんなやり方はないでしょう?」

あばた面さんは急に焦り出し、向かいに座っている乗客、つまり林逸の左隣に座っている眼鏡の男に向かって叫んだ。「このお方は学者のように見えますが、ちょっと判断してください。こんなやり方、ずるいじゃないですか?」

「誰がずるいって?」

坊主頭さんも気分を害し、同じく眼鏡の男の方を向いて言った。「先生、このプルタブは誰のものか、言ってください」

「うーむ...」

眼鏡の男は眼鏡を押し上げ、少し躊躇してから言った。「私は大学教師ですが、お二人が私を信頼してくれるなら、判断させていただきましょう」

「お願いします、どうぞ!」

あばた面さんと坊主頭さんは共に頷き、自称大学教師の眼鏡の男を焦りの表情で見つめた。

「道理から言えば、このプルタブはこちらのお兄さんが飲み物の缶から開けたものですから、本来は彼のものです...」

眼鏡の男が話している途中で、あばた面さんは得意げな表情を浮かべ、一方の坊主頭さんは急に焦り出した。何か言おうとした時、眼鏡の男は手を振って制し、続けて言った。

「しかし、このお兄さんがプルタブを捨てて、こちらのお兄さんが拾ったのですから、後から拾った方のものになるはずです...」

「でも先生も言ったように、あのプルタブは俺のものです...」

あばた面さんは眼鏡の男の言葉を聞いて、すぐに顔を曇らせた。

「私が思うに、こうしましょう。お二人でこの賞を分け合うのはいかがでしょうか。そうすれば誰も損をしませんよ!」

眼鏡の男が提案した。

「分ける...」

坊主頭さんはそれを聞いて、少し躊躇した後、歯を食いしばって言った。「いいだろう、分けよう」

おそらく坊主頭さんも自分の理屈が少し通らないと感じたからこそ、眼鏡の男の提案に同意したのだろう。

一方のあばた面さんも、プルタブが坊主頭さんの手の中にあり、同意しなければ何も得られないかもしれないと考え、半分でも良いと思って頷いて同意した。

「よろしい、お二人とも同意されたなら、分けましょう」

眼鏡の男はあばた面さんの手からコーラの缶を取って見てから、言った。「ここには、一等賞は十萬元で、二十パーセントの個人所得税を引くと八萬元が残ると書いてあります。ただ、賞金の受け取りは面倒なので、どちらかが受け取りに行って、もう一方に三萬元を渡すというのはどうでしょうか?」

「いいですよ!」

あばた面さんは少しでも金がもらえるならと、すぐに同意した。「三萬元くれれば、あなたが受け取りに行ってください!」