「あっ、瑤瑤お姉さん、見て、私の勝ちよ!」
陳雨舒は林逸を見かけると、楚夢瑤に向かって言った。
「何が勝ちなの?」
楚夢瑤は少し不思議そうだった。
「林逸が勝つって賭けたのよ!」
陳雨舒は林逸を見る時、思わず顔を赤らめた。
彼女は性格的には楚夢瑤より大胆だったが、先ほど見た光景を思い出すと、やはり顔が赤くなってしまう。
楚夢瑤は何も言わなかった。明らかにまだ先ほどの出来事から立ち直れていなかった。
「僕は勝ってないよ。ただ彼らが着替えに行っただけだ」
林逸はそう言って自分の席に戻った。
今日は本当に恥ずかしい思いをしたと感じていた。二人の女の子に自分の大切なところを見られてしまった。それは本来なら将来の奥さんにしか見せられないものなのに、彼女たちに先に見られてしまった。
午前中、鍾品亮は再び姿を現さず、高小福と張乃炮も一緒に消えていた。三人がシャワーを浴びて服を買いに行くのは、すぐには終わらないだろう。
お昼休みの時、林逸の前の席に座っている眼鏡をかけた男子が振り返ってきた。「やあ、お昼どこで食べる?」
「わからないんだ。学校に食堂はあるの?」
林逸はちょうどお昼をどこで食べようか悩んでいたところだったので、親切に話しかけてくれた相手に急いで尋ねた。
「あるよ。案内するよ!」
眼鏡の男子は友好的に手を差し出した。「自己紹介するね。康曉波だよ」
「林逸です。よろしく」
林逸は康曉波と握手を交わした。
楚夢瑤と陳雨舒は授業が終わるとすぐに姿を消したが、学校内なら林逸は心配する必要はなかった。基本的に彼女たちを傷つけられる人はいないだろう。
二人は肩を並べて教室を出た。康曉波はよくしゃべる方のようだった。「お前、前はどこの学校にいたの?」
「山奥から来たんだ」
林逸は自分の過去を隠さなかった。「正式な学校教育はほとんど受けてないんだ。あそこは貧しくて、正規の学校がなかったから」
「えっ!じゃあ成績すごくいいんだろうな!」
康曉波は驚いて林逸を見つめた。市立一中に入学できる生徒は二種類しかいない。高額の入学金を払って入る者か、高得点で入る者だ。
高額で入学する場合は言うまでもない。お金を払えば学校は必ず受け入れる。