「いいよ、ちょうどトイレに行きたかったところだ」
鍾品亮の言葉は林逸の思惑通りだった。朝、教務主任の弱みを握ったとはいえ、何か問題が起きた時に教務主任が自分を助けてくれるかどうかは分からない。今、こいつらが人気のない場所を探しているのは、むしろ好都合だった。
林逸があっさりと承諾したのを見て、鍾品亮は何とも言えない気持ちになり、張乃炮と高小福の三人で顔を見合わせた。
今まで誰かを懲らしめようとする時、相手はいつも怯えた様子を見せ、トイレに行くと言われると大抵許しを請うのに、林逸だけは、ちょうどトイレに行きたかったと言うのだ!
「じゃあ、行くぞ!」
鍾品亮は不愉快だった。林逸と話をしても、人をいじめる快感が全くなかった。
「瑤瑤お姉さん、アローさんかっこいいでしょう!」
陳雨舒は興奮して小さな拳を振り上げた。「これから面白いことになりそう!」
「あの人、頭がおかしいんじゃない?一人で三人に立ち向かうなんて、調子に乗りすぎよ」
楚夢瑤は口を尖らせた。
林逸と鍾品亮の四人が教室を出ると、楚夢瑤と陳雨舒が教室の入り口に立っているのが見えた。
林逸は何とも思わなかった。陳雨舒がこの小娘が見物に来るのは分かっていたからだ。しかし鍾品亮は急にへつらうような笑顔を浮かべた。「瑤瑤、どうしてここにいるの?」
「私がここにいちゃいけないの?私はどこにいたっていいでしょ。あなたに関係ないわ」
楚夢瑤は鍾品亮を睨みつけた。「それより、あなたたち何をしているの?」
「ああ、この田舎者が礼儀を知らないから、人としての道を教えてやろうと思って」
鍾品亮は林逸と楚夢瑤が知り合いだということを知らず、まだ二人に何の関係もないと思っていた。
鍾品亮からすれば、女性は一般的に強い男性を好むもので、自分が強気であればあるほど、彼女たちに安心感を与えられると考えていた。
だから彼はいつも楚夢瑤の前で横暴な態度を見せていたが、それが逆に楚夢瑤の反感を買っているとは知る由もなかった。
「そう、じゃあ、しっかり教えてあげてね!」
楚夢瑤はそう言いながら、林逸を軽く睨みつけた。昨日私を弄んだ報いを受けなさいよ、と心の中で思った。
「はい、はい!」