「大丈夫だよ」
林逸は軽く笑って言った。「麻酔薬は好きじゃないんだ。副作用があるから」
執刀医は一瞬戸惑ったが、すぐに頷いた。林逸がそこまで主張するなら、そうするしかない。
この手術は生命の危険はないので、無理強いする必要もなかった。
「若いの、我慢するんだぞ!」
執刀医はそう言うと、看護師に手術の準備を指示した。
林逸は痛みを恐れないというわけではないが、この程度の痛みなら耐えられる範囲だった。
昔、西星山の山頂から落ちた時の方が遥かに痛かった。あの時は五臟六腑が全部ずれるような痛みだった……
「君はどうやって怪我したんだ?」
執刀医の孫為民は経験豊富な外科医で、医術が優れているだけでなく、人を見る目も確かだった。
林逸は銃創を負っているが、警察が連れてきた容疑者のようには見えなかった。そのため、孫為民は彼と積極的に会話を交わし、注意を逸らして痛みを和らげようとした。