林逸は今回主に携帯電話を買いに来たので、直接携帯電話売り場に向かった。
以前、楚夢瑤と陳雨舒がiPhoneを使っているのを見て、林逸も気に入り、最新モデルを選んで数千元の通話料を支払い、携帯電話を手に入れた。
林逸が支払いをしようとした時、福おじさんが先にカードで支払い、笑顔で林逸に言った。「これは日用品だから、私たちが提供すべきものです。」
林逸は福おじさんの言葉を聞いて、もう争わなかった。確かにこの数千元は自分にとっては大金だが、福おじさんと楚鵬展にとっては取るに足らない金額だった。
福おじさんは運転手に過ぎないが、鵬展グループの株式を保有している。わずかとはいえ、それは楚鵬展の心の中での福おじさんの地位を十分に物語っていた。
携帯電話を買った後、通りの交通量が増えてきた。ちょうど通勤時間帯で、福おじさんは苦笑いして言った。「かなり時間がかかりそうですね。でも林さん、学校の王部長とそんなに親しいんですか?」
「昨日入学手続きの時に少し話をして、気が合ったんです。それで電話番号を教えてくれて、何かあったら連絡してくれと言われました。」
林逸は笑いながら答えた。
「そうですか。」
福おじさんは完全には信じていなかったが、林逸が話さない以上、追及もできなかった。
ようやく第一人民病院に到着したが、時間はすでに午前8時半で、道中約1時間かかっていた。
昨日の孫為民医師を見つけると、孫為民は林逸を見て非常に喜び、にこやかに彼を見つめて言った。「若きヒーローが来たね。回復が早いじゃないか!もう歩けるなんて、他の人なら杖をついているところだよ!」
「孫いしゃ、ヒーローなんて呼ばないでください。なんだか落ち着きません。それに、私はヒーローでもありません。」
林逸は孫為民にじっと見られて少し居心地が悪くなった。彼の笑顔には何か違和感があった。
「いや、ヒーローにふさわしい!ふさわしい!」
孫為民は手を振り、長老のような態度で笑いながら言った。「ただ、若者は少し色恋に走りすぎだね。昨日の女性警官との一件は...病院の美談になっているよ。警花までもが若きヒーローに心を寄せているとはね!」
「えっ?」
林逸は冷や汗を流した。まさか?学校のうわさは早く広まるというが、病院でもそうなのか?
「ハハハ、もういじめるのはやめておこう!」