第48章 甘美な一瞬

今朝出勤すると、關馨は外科の医師や看護師たちが林逸という男性のことを話題にしているのを耳にした。

最初は何かのゴシップだと思って気にも留めなかったが、よく聞いてみると、昨日の銀行強盗事件について話し合っていることに驚いた！

当事者である關馨は当然、一番の発言権を持っていた。關馨が前に座っていた若者が自ら人質になろうとしたことを話すと、皆は一斉に驚きの声を上げた！

それが全て真実だったのだ。昨日の若者は本当にヒーローだった！

以前、孫為民が皆に話したことがあったが、警察が事件の詳細を公表していなかったため、多くの人は林逸が孫為民に自慢話をしているだけだと思っていた。しかし今、關馨の目撃証言があり、林逸は本当に小さなヒーローだったのだ！

「えっ？彼は昨日うちの病院で治療を受けたの？それは、盜賊から逃れられたってことじゃない！」

關馨は孫為民の言葉を聞いて、急に喜びがこみ上げてきた。心の中の重い石が取れたような気がした。

昨日から、彼女は林逸とあの女の子の安否を心配して、一晩中眠れなかった。今やっと安心できる。

「そうなんだよ！」

孫為民は笑いながら言った：「林逸は本当にすごいんだ。でも馨馨、君は本当に運がいい。昨日林逸が言ってたんだけど、犯人が発砲した時、彼は避けることができたんだって。でも後ろに女の子がいるのを見て、自分が避けたら後ろの女の子に弾が当たると思って、結局自分で受けたんだって！そして、その幸運な女の子というのが、君だったんだね！」

「あっ！そうだったんですか...」

關馨は驚いて口を開けた！なるほど、あの時体を横に向けてから元に戻したのは...自分を守るためだったんだ！

「ふふ、馨馨、林逸がまた包帯交換に来るから、君のところに行くように言っておくよ！」

孫為民は笑って言った。

実は孫為民も關馨の本当の身分は知らなかった。ただ院長から、關馨は要人に紹介された人物だから、必要な配慮をするようにと言われていただけだった。

孫為民はもともと謙虚な人物で、院長から言われなくても科の全員に親切にしていた。特に若い人たちには、できる限りの指導をし、何も隠し立てしなかった。

關馨は顔を赤らめた。このようなヒーローが美女を救うというシチュエーションは、どうしても余計な想像を誘ってしまう。