第65章 あなたは彼のことが好きなの

同じように衝撃を受けたのは、鄒若明だった。

黒豹兄のあの生きているのか死んでいるのかわからない様子を見て、鄒若明は今後林逸という奴から距離を置こうと決めた。あいつは狂人で、鄒若明は死にたくなかったからだ。

この件は少し気が重かった。学校で二番目の実力者である自分が、転校生を恐れているなんて、噂になれば面目丸つぶれだ。

しかし鄒若明は考えた。自分は彼と関わらないようにすれば、自分から彼を挑発しない限り、自分には害が及ばないだろう、と。

そう考えると、鄒若明は内心喜んだ。鍾品亮のあのバカ野郎め、何も無いのに転校生に喧嘩を売りに行くなんて。

相手の素性も調べずに挑発するなんて、まるで死にたがっているようなものだ。

「ねえ、瑤瑤お姉さん、林逸は大丈夫かな？宋凌珊の高圧的な態度を見てると、わざと林逸に難癖をつけようとしているみたいだったよ！」