第66章 医学院長の關學民

車は學海書店の前に停まり、途中で松山第一高校も通り過ぎた。

書店と学校の距離は一駅程度で、本を買い終わったら歩いて学校に戻れそうだ。

林逸は車賃を払い、學海書店に入って、入口の販売員に尋ねてから、医学書籍コーナーへ向かった。

この時間帯、書店には人が少なく、医薬コーナーはさらに人が少なかった。ただ一人の學者らしい老人が本棚の前で何かを読んでいた。

林逸は本棚のラベルに従って、必要な本を見つけて読み始めた。

いくつかの珍しい漢方薬の薬性について、林逸は再確認する必要があった。

楊懷軍の体内の傷は複雑で、体の機能は鎮痛劑の抑制下で完全に乱れていた。

しかし何故か死んでいない。おそらく達人が楊懷軍の体を調整しているのだろう。結局、楊家の勢力は侮れないものだ。

「若いの、漢方医に興味があるのかい?」

いつの間にか、學者らしい老人が林逸の側に来ていて、林逸が手に持っている本を見ながら、突然尋ねた。

「少し研究しています」

林逸は微笑んで、この學者らしい老人に頷いた。

「君は近くの醫科大學の学生かい?」

老人はまだ諦めない様子で、さらに尋ねた。

「いいえ、松山第一高校の生徒です」

林逸は適当に答えた。彼は老人に対して反感を持っていなかった。老人が学術研究をする人だということが分かったからだ。もし何か目的があって話しかけてきた人なら、林逸は一言も余計な言葉を話す気にはならなかっただろう。

「おや?高校生?」

老人は林逸の言葉を聞いて驚いた様子だった。今時の若者で、漢方医に興味を持つ者は少なくなっていた!

醫科大學の学生が試験対策のために書店に資料を探しに来ることはあるが、漢方医にはあまり興味を示さない。

關學民はここ数年、自分の技を継承できる內弟子を探していたが、ずっと見つからなかった。

まさか今日、書店で漢方医に興味を持つ高校生に出会うとは思わなかった。

醫科大學には漢方医についてかなり研究している学生も少なくないが、ほとんどの学生は西洋医学に傾倒している。漢方医を学ぶのは知識を広げるためだけで、漢方医を将来の職業や研究の方向性として考える者は一人もいない。これは關學民にとって非常に失望的なことだった。