しかし、楊懷軍は気落ちすることはなかった!
あの男は一体どんな人物なのか?
こんな簡単な試みで見破られるようでは、今まで戰神のような存在として見てきた意味がない。
「ねぇ宋ちゃん、お前がバカなのはまだいいとして、どうしてお前の隊長もこんなにビクビクしているんだ?」
林逸は楊懷軍に顔を見られてしまった以上、もう隠れる必要はないと思い、堂々と顔を上げた。「はぁ、どうやらあなたたちの仕事のストレスが溜まりすぎているようですね。心理カウンセリングを受けて、ストレス解消した方がいいんじゃないですか」
「なぜ認めないんだ?」
楊懷軍は林逸の話題そらしを全く無視し、興奮して彼の両肩を掴み、激しく揺さぶった。「俺はハンターだぞ?俺のことを覚えていないのか?」
宋凌珊は林逸に反論しようとしたが、突然楊懷軍が自分のことを「ハンター」と名乗るのを聞いて、目を丸くした!
一体何なんだこれは、楊隊長は本当にストレスで頭がおかしくなってしまったのか?
「ほら見ろよ、宋ちゃん。彼は重度の妄想症になってしまって、自分を動物だと思い込んでいるぞ」
林逸は首を振った。「そして、私を見るなり、私も動物だと思い込んで...」
宋凌珊の顔には一気に黒い線が走った。楊隊長はいつも冷静で賢明なイメージだったのに、今日はどうしたというのか?
もし先ほどまで確信が持てなかったとしても、今の楊懷軍は百パーセント確信していた。目の前の人物こそが、自分が探していた人物だと。
あの困難な日々、共に苦難を乗り越えた戦友との間に育まれた絆を、楊懷軍が人違いするはずがなかった。
特に林逸の話し方や、あの独特な突飛な物言いは、楊懷軍にとって間違いなく彼だと確信させるものだった。
突然、楊懷軍の頭に一つの考えが閃いた。もしかして、彼は特殊任務を遂行中で、自分の身分を明かせないのではないか?
そうだ!
その可能性が高い!
かつて自分たちが遂行していた任務のレベルを考えれば、林逸の今の行動も不思議ではない!
「宋さん、彼は私に任せてくれ。私が直接この件を処理する」
楊懷軍は一方的に林逸の腕を掴んだ。まるで逃げられることを恐れているかのように。
「あ...はい、分かりました...」