「お前の行為がどうだったのかは、調査してみないとわからない。今私が見ているのは、お前があの黒豹さんを重傷を負わせ、彼が病院に運ばれたのに、お前は無事だということだ!」
宋凌珊は冷たく鼻を鳴らし、続けて言った。「だからお前の行為が正当防衛なのか、それとも故意の傷害なのか、調査してみないとわからないわ。」
「好きにしろよ!」
林逸は宋凌珊が自分を快く思っていないことを理解していた。彼女は警察官という立場を利用して自分を説教しようとしているのだ。
二人とも心の中では、黒豹兄がどんな人物かは宋凌珊のところで把握されていることを知っていた。だから今回のことは昨日の出来事が原因だろう。
宋凌珊は自分がこんな私情を挟んだことをするとは思ってもみなかった。
しかし、よく考えてみれば、これは私情を挟んだことにはならない。少なくとも林逸が黒豹兄に重傷を負わせたのは事実だ。だから自分が彼を批判し、教育することは間違っていない。
この警察車両は前後で仕切られており、後部座席には林逸と宋凌珊の二人だけがいた。
運転手は前にいて二人の会話は聞こえない。だから林逸も比較的自由に話せ、「胸だけでかくて頭が空っぽ」といった発言もできた。
林逸が顔を背け、自分に構わなくなったのを見て、宋凌珊も非常に退屈になった。ちょうどその時、携帯電話が鳴り、宋凌珊は電話に出た。
「宋さん、楊懷軍だ。」
電話の向こうから楊隊長の声が聞こえてきた。
「楊隊長、松山に戻られたんですか?」
宋凌珊は楊懷軍からの電話を受け、心が急に軽くなった。
一晩中の取り調べで、銀行強盗事件の手がかりが全く見つからず、宋凌珊は焦りを感じていた。今、楊懷軍が戻って直接捜査することになり、彼女も安心した。
「ああ、今着いたところだ。署に戻る途中だが、そっちは何か問題はないか?」
楊懷軍が尋ねた。
「黒豹兄と呼ばれている暴力団員が市立第一中学校で銃を持って暴れ、私が対応してきたところです。」
宋凌珊は事実を報告した。
「なんだって!黒豹兄が学校で銃を持って暴れた?」
楊懷軍はそれを聞いて大きく驚いた。たった一日留守にしただけで、松山でこんなに多くの事件が起きるとは!