第77章 殺気を持つ者

「楚おじさん、他に用事がなければ、学校に行ってきます」

林逸は言うべきことを全て言い終え、後の処理は楚鵬展に任せることにした。

「ああ」

楚鵬展は頷いた。「今日のことは、瑤瑤には言わないでくれ。彼女に心配をかけたくないんだ」

「ご安心ください、楚おじさん。余計なことは言いません」

林逸は立ち上がり、帰る準備をした。

「李福、逸くんを学校まで送ってやってくれ」

楚鵬展は傍らの福おじさんに命じた。

「はい、楚先生」

福おじさんは頷いて承諾した。

「いいえ、結構です。下でタクシーを拾えばいいので」

林逸は急いで言った。薬局に寄るつもりだったし、福おじさんに付いてきてほしくなかった。ある事は、あまり他人に知られたくなかったのだ。

「そうか」

林逸がそう言うのを聞いて、楚鵬展も強要しなかった。「会社の問題を解決するまでの間、瑤瑤の安全を頼むよ」

「ふん」

林逸は手を振った。「楚おじさん、私の任務が楚さんに関係している以上、正式な任務開始前に彼女に何かあるようなことはさせません」

楚鵬展は頷き、そしてため息をついた。

元々この件は林逸にとって得だと思っていたが、今見ると、林逸は楚夢瑤にあまり興味がないようだ。

父がどのように手配したのかは分からないが、もういい、彼の言う通りにすればいい。

「李福、後で総務部に連絡して、会議室の準備をするように伝えてくれ。午後に取締役会を開くから!」

楚鵬展が林逸の送迎を福おじさんに強要しなかったのは、他に福おじさんに頼みたいことがあったからだ。

「承知いたしました、楚先生」

福おじさんは頷き、素早く楚鵬展のオフィスを出た。

楚鵬展には専属の秘書がいたが、多くの事は秘書に知らせることができず、福おじさんという側近にしか任せられなかった。

そのため、多くの場合、福おじさんは秘書の役割も果たしていた。

鵬展ビルを出て、林逸は手近なタクシーを拾った。

「お兄さん、どちらまで?」

乗車後、運転手はメーターを下ろしながら尋ねた。

「運転手さん、漢方薬の卸売り場をご存知ですか?」

林逸は松山市の地理に詳しくなかったが、古参のタクシー運転手は生きた地図のように、市内の様々な業種について熟知していた。

「ああ、漢方薬ね。木の枝や草みたいな生薬のことかい?それとも調合済みの漢方薬?」