第78章 助けるか助けないか

少女から漂う殺気は、一般人には気づかないかもしれない。

しかし、同業者である林逸は鋭く感じ取ることができた。これも第六感の一種と言えるだろう。

林逸は相手に気づいたが、相手は林逸に気づいていなかった。

長年の修練により、林逸は自身の殺気を完全に隠すことができるようになっていた。しかし、林逸のこの境地に達している者は、極めて少なかった。

結局、林逸は首を振った。少女の身なりは、明らかに人に注目されたくないという意図が見えた。

彼女は怪我をしているようだったが、林逸は助けようとは思わなかった。

他人の事情には関わらないのが良い。同業者かもしれないが、任務遂行中に邪魔されたくないはずだ。

さらに、同業者とはいえ異なる組織に属していて、敵対関係にある可能性もある。

「すみません、傷薬とはどんなものですか?」