第68章 君子の復讐は10年待っても遅くない

王智峰は林逸が楚鵬展の紹介で来たことを知っていたので、この機会に林逸に好意を示そうと考えた。

高三の重点クラスには高三五組の他に対口クラスの高三六組もあり、林逸を六組に移せば、鍾品亮との衝突を避けることもできる。

林逸は王智峰の言葉を聞いて思わず苦笑した。なんと王智峰は鍾品亮たちが自分に何かしでかすことを恐れているのだ!

しかし、林逸の本当の目的は楚夢瑤に付き添うことであり、楚夢瑤がクラスを変えないのに、自分だけがクラスを変えるわけにはいかない。

それに、鍾品亮たちのようなピエロを林逸は全く眼中に入れていなかった。今後は自分の前で暴れる勇気もないだろう。

「王部長、ありがとうございます。今のクラスで十分です。環境にも慣れてきたところなので、変えたくありません」

林逸は王智峰の好意を婉曲に断った。

「そうですか。では、今後何か問題があれば、軽率な行動は避けて、まず学校に報告してください。学校で適切に対処します」

林逸が固辞するのを見て、王智峰もそれ以上は何も言わなかった。

この一件で、鍾品亮たちもしばらくは大人しくなるだろうと考えた。

夜の自習時間に、英語のテストの結果が出た。さすが重点高校の重点クラスだ。康曉波が問題は難しかったと言っていたにもかかわらず、150点満点の試験で130点以上を取った者が何人もいた!

康曉波は111点、林逸は109点だった。

もちろん林逸は意図的にそうしたのだ。自分の成績をクラスの中位よりやや下に抑えておけば、目立つこともない。

しかし林逸が目を丸くしたのは、130点以上を取った人の中に、楚夢瑤と陳雨舒の二人が含まれていたことだった。

どうやらこの二人のお嬢様は決して無能ではないようだ、と林逸は心の中で思った。

「大將、すごいじゃないか、初めての試験なのにいい点数だぞ!」

康曉波は林逸が自分より2点低いだけなのを見て、密かに驚いた。

「運が良かっただけだよ」

林逸は心の中で、問題が難しいと分かっていれば、もう少し間違えておけばよかったと思った。

「夜、一緒に何か食べに行かない?僕がおごるよ?」

康曉波は昼間にもこのことを林逸に言っていたが、その時は林逸が承諾せず、夜にまた話そうと言っていた。

「週末にしよう。僕の家は学校から遠いから、遅くなると帰りの交通手段がないんだ」