第74章 トイレの男

病院を出て、林逸は近くの薬局で漢方薬を買おうと思ったが、一般的に病院近くの薬局は値段が高めだ。

林逸は少し考えてやめることにした。手持ちの現金と楚鵬展からもらったキャッシュカードはあるものの、必要な漢方薬は普通の薬ではなく、数グラム数両で何千何万もする代物だった。

「林さん、楚先生から先ほどお電話があり、もしお時間があれば、お会いしたいとのことでした」

車に乗ると、福おじさんが林逸に言った。

「ああ?楚おじさんが私を?では楚おじさんのところへ行きましょう。福おじさんもご存知の通り、私は学校以外は特に用事がないので」

林逸は楚鵬展が自分を呼ぶ理由が分からなかった。銀行強盗事件に進展があったのか、それとも昨日学校で黒豹さんとの衝突のことかもしれない。

「承知いたしました。すぐに楚先生にご連絡いたします」