「これは百元です。お釣りは結構です……」
鄒若明は百元を取り出し、唐はははの前に置いた。彼は一分でも長く留まりたくなかった。林逸に見られていると、居心地が悪かった。
「それはいけません……」
唐はははお釣りを渡そうとしたが、鄒若明は苦笑いを浮かべながら手を振り、背を向けて振り返ることなく立ち去った。
もともと唐はははは、鄒若明のこの食事代は確実に戻ってこないと思っていた。
彼らは五六十元分の料理を注文し、酒も飲んでいた。
唐はははは一日の屋台営業で百八十元ほどしか稼げないのに、この一件で大半を損してしまった。残念に思ったが、鄒若明に請求する勇気もなく、諦めるしかないと思っていた。
しかし、林逸の一言で鄒若明がおとなしく支払い、しかも数十元も多く払って、お釣りも要らないと言ったことに、心の中で林逸に大変感謝した。