第100章 救いの手を差し伸べる

ここで突然林逸に出会った王心妍は、少し嬉しく思った。

しかし、この状況下では、その喜びはすぐに消え去ってしまった。

王心妍は林逸が自分のことで巻き込まれるのを望んでいなかった。その男女の身分は分からなかったが、並の人物ではないことは見て取れた。

王心妍は彼らを恐れてはいなかった。この件は自分の過ちではないし、最後に父と祖父が知ることになっても構わない。せいぜい叱られる程度で、事態は解決できるはずだった。

しかし今、林逸が関わってくると、相手が林逸に難癖をつけてきたら厄介なことになる。

王心妍が林逸に何か言おうとした時、林逸はすでに背を向けていた。

林逸は頷いた。どう考えても、自分はすでにこのトラブルに巻き込まれている以上、王心妍を助け出す方法を考えなければならない。