第0146章 "ラブレター"を渡す

放課後、林逸は急いで高校三年九組へ走って行き、唐韻の席の横の窓をノックした。

しかし、二回ノックしても中にいる唐韻がカーテンを開けて窓を開ける様子はなく、林逸は少し不思議に思った。まさかもうこんなに早く教室を出てしまったのだろうか?

自分は全速力で走ってきたのに、それに前の休み時間に約束したはずだ、処方箋を持ってくると。

そう思いながら、林逸はもう一度強く窓をノックした。もしかして聞こえなかったのだろうか?

今度は、教室の中からようやく反応があり、唐韻がカーテンの端を少し持ち上げた。

しかし窓は開けず、唐韻は頬を赤らめながら、口元に手を当てて林逸に向かって静かにするよう合図をし、手を振った!

これはどういう意味だ?

林逸は困惑した。話してくれればいいのに。話せば唇の動きで何を言っているか分かるのに。「シーッ」とやって手を振るだけじゃ、誰にも分からないじゃないか。