第0206章 なぜ早く言わなかったの

「ふふ、私は君と彼女が付き合うことを止めたことなんてないよ。君自身が決めたことだから、私はただ支持するだけさ」林逸は手を伸ばして康曉波の肩を叩いた。「でも、この道はおそらく険しいだろうね」

「もし僕が彼女を愛しているなら、僕は進み続けるよ!僕は自分の気持ちを確かめなければならないんだ!」康曉波は拳を握りしめた。「大將、あなたが僕を支持してくれるなら、僕は自信に満ち溢れるよ」

「ふん……」林逸がちょうど励ましの言葉を言おうとしたとき、携帯の着信音が鳴った。取り出して見ると、お嬢様からの電話だった。

「何かあったの?」康曉波が側にいたので、林逸は楚夢瑤の名前を呼ぶわけにはいかなかった。

「林逸、どこにいるの?早く帰ってきて、舒ちゃんに何かあったの!」楚夢瑤は急いで言った。

「何かあった?何があったんだ?まず落ち着いて、すぐに戻るから!」楚夢瑤は電話でははっきりと説明しなかったが、林逸はとにかく急いで帰らなければならなかった。陳雨舒に何かあったとなれば、油断するわけにはいかない。

「大將、何かあったの?」康曉波は楚夢瑤の言葉は聞こえなかったが、林逸の後の言葉は聞こえていた。

「ああ、家で少し問題が起きたんだ。急いで行くから、君を寧時通りで降ろすよ。家まで送れなくてごめん」と林逸は言った。

「大丈夫だよ、大將。今ここで降りるよ?前にバス停があるし」康曉波は林逸に用事があるのを見て、当然彼に自分を家まで送らせるのは気が引けた。

「寧時通りを通るから、大丈夫だよ」林逸は無意識のうちに車のスピードを上げた。

松山市内の制限速度は時速60キロだが、車の少ない区間ではもう少し速く走ることができる。しかし、速度測定カメラに撮られたら厄介だ。

しかし林逸はそんなことを気にしている場合ではなかった。どうせ車は陳雨舒のものだし、自分が急いで家に帰るのも陳雨舒のことだからだ。もし罰金を取られても、陳ちゃんは責めないだろう。

寧時通りに着くと、林逸は康曉波を降ろし、一路飛ばして別荘地区に戻った。車を停めると、林逸は別荘の玄関に駆け込んだ。「瑤瑤、舒ちゃん?」

返事はなかった。