林逸はため息をついて、良い機会を逃したことを少し残念に思った。
しかし林逸は後悔していなかった。このような事は、二人とも望んでいる状況でこそ、最も良いものだ。
一方だけが睡眠薬の影響を受けているなら、それには何の意味もない。林逸は自分に言い聞かせることができる、唐韻が積極的だったのだと。しかし、この自己欺瞞の考えが誰を騙せるだろうか?
林逸は電話を取り出し、宋凌珊の番号をダイヤルした。
すぐに宋凌珊が電話に出た。声は少し疲れているように聞こえた。「もしもし?林逸?何かあったの?私は会議中なんだけど…」
「会議?こんな遅くに?」林逸は驚いた。本来なら彼女に来てもらって黒豹さんを連れて行ってもらおうと思っていた。林逸には彼を処理する場所がなかった。
「黒豹さんのことでしょ?この人は危険だから、早く逮捕して収監しないと、社会に残しておくのは結局は危険なの!」宋凌珊は言った。「それで、あなたは何の用事があるの?特に用がないなら切るわ。」