「傅塵雪、この名前は……」
なんというか。
齊明は相手を見つめながら、この名前に見覚えがあると感じ、よく考えてみると思い出した。傅塵雪は自分と同じく三年前に天啓宗に入門したのだ。
ただし。
傅塵雪は資質が極めて高く、強大な天賦と資質を見せ、その後、藏劍峰の真伝長老'謝斷天'に弟子として迎えられ、まさに龍門を跳び越え、一気に天に昇ったようなものだった。
だから。
これが齊明の前身に深い印象を残したのだ。
記憶は鮮明だった。
「前身の資質があまりにも低すぎたとしか言えないな」
齊明は沈思し、前身の記憶を細かく思い出しながら、五項目の資質の具体的な区分を完全に理解し、思わず口を尖らせて心の中で呟いた:「こんな資質で修仙しようとするなんて」
確かに。
齊明の前身は五項目の資質が不足していたため、雑役弟子にしかなれなかった。もし前身の性格が強靭でなく、少しの運も無かったら、おそらく五項目の試験すら通過できなかっただろう。
五項目の資質。
霊根区分:金、木、水、火、土。
単霊根が最高で、五行雑霊根が最低。
低いものから高いものへ。
體質区分:凡體、霊体、道體、仙體、聖體。
悟性区分:凡俗位、卓越位、天才位、絶世、妖孽。
根骨区分:普通位、超凡位、琉璃位、潛龍、真龍。
福縁区分:單色位、雙色位、三彩位、四彩位、五彩位。
それぞれが五等に分けられている。
そして齊明の五項目の資質。
霊根は五行雑霊根、體質は凡體、悟性は凡俗位、根骨は普通位、唯一福縁だけはまあまあで、三彩位のレベルに達していた。
ちょうど。
これが天啓宗が雑役弟子を受け入れる最低基準だった。
五項目の資質の中で、一つが第三等に達していれば雑役弟子になれる。ただし、五項目の試験に合格して天啓城にたどり着くことが前提だ。
外門弟子の最低基準は、三つの資質が第三等に達していること、そのうち霊根が必ず第三等に達していることが条件だ。
真傳弟子の最低基準は、五項目の資質が全て第三等に達し、さらに一つの資質が第四等級に達していることが必要だ。
「齊明!」
カン!
突然。
傅塵雪の目が齊明に向けられ、剣の鳴る音が響いた。傅塵雪の瞳には、極めて強い剣道の剣意が宿っていた。
「これは……」
齊明は表情を変えなかった。
しかし。
齊明はかすかな圧力を感じていた。
微かに。
周囲には形のない圧迫感が漂っているようだった。
「始まるな」
「真伝の対決だ」
「天啓盛會では真傳弟子同士の争いは許されていないが、毎回の天啓盛會の開始時には、十二峰の真傳弟子たちが一度の対決を行う。これは修為や戦力の対決ではなく、真傳弟子間の'道'の争いなのだ」
「もちろん、これは良性の競争でもあるため、宗門は一度も制止したことがない」
「傅塵雪は確かに良い相手を選んだ。青雲峰の真傳弟子齊明が真傳弟子になってまだ一ヶ月ほどしか経っていないのに対し、傅塵雪は三年前に藏劍峰の真伝になったばかりだ。他の十峰の真傳弟子はさらに違う。最短でも六年、長ければ十数年から二十年になる」
「傅塵雪は齊明を打ち破って、自身の信念を確立しようとしているのだ。齊明を踏み台にしようというわけだ!」
「傅塵雪がそのような考えと行動を取るということは、すでに彼の自信のなさの表れだ」
「……」
十二峰の長老たちは議論を始めた。
「藏劍峰」
呂清顏は目を冷たくし、氷のような視線を藏劍峰の法船に向けた。藏劍峰を率いる內門長老は払子を持った白髪の老人で、呂清顏の視線に動じる様子はなかった。
「呂長老」
藏劍峰の內門長老'白中鈞'、つまりその白髪の老人は動じることなく言った。「真伝の対決は若者たちの交流に過ぎません。なぜそんなにお怒りなのですか?」
「ふん!」
呂清顏は冷たく鼻を鳴らした。「もし師弟が真傳弟子になるのが遅すぎなければ、あなたたちの十一峰の真傳弟子を全員合わせても私の師弟の相手にもならないでしょうに」
「えっと……」
齊明は顔色を微かに変え、疑わしげな目で呂清顏を見つめた。師姉よ師姉、そんな言い方はないだろう。なんだか私に敵を作らせているようじゃないか!
なんだ、あなたたちの十一峰の真傳弟子を全員合わせても私の相手にならないって。
聞いてくれ!
これはなんて傲慢な言葉だ。
私は何も言っていない。
私には関係ない。
師姉に言ってくれ!
師姉に!
聞いているか!!!
案の定。
シュッ!シュッ!シュッ!!!
呂清顏の言葉が落ちるや否や、他の十人の真傳弟子の視線が思わず齊明に注がれ、齊明にかかる圧力は倍増した。
これで齊明は一気に全場の焦点となった。
困ったものだ。
齊明は本当に困っていた。
「なんと傲慢な口ぶりだ」
傅塵雪は目を沈め、重々しく叫んだ:「齊明、では私にあなたの'道'を見せてもらおう」
「蔵剣真経!」
言葉が落ちるや。
傅塵雪は'蔵剣真経'を運転し、彼の背後に剣鞘を持つ漆黒の築基法相が浮かび上がった。これは築基異象とも言え、また傅塵雪の'道'の具現化とも言えた。
蔵剣真経。
藏劍峰の'真伝の功法'で、功法は深遠で測り知れず、まさに剣道の一つの表現と進化だった。'蔵剣真経'を修練するには'潛龍'の根骨が必要だった。
そして丁度。
傅塵雪の第四等級の資質は'潛龍'の根骨で、霊根は金土火の三行、悟性は'天才位'、福縁は'三彩位'、體質は'天剣道體'だった。
さらに。
傅塵雪は藏劍峰で三年修行し、その修為はすでに築基初期に達していた。
傅塵雪の'道'の進化は形のない圧迫感を形成し、すべて齊明に向かって押し寄せた。この'道'の争いは一見形がないようで、しかし跡を追うことはできた。
その中で。
齊明の感触が最も深かった。
なぜなら。
齊明は今まさに傅塵雪の'道'を受けていたからだ。彼の'道'は'剣道'であり、しかも'蔵剣剣道'だった。一口の法剣を蔵し、剣を出せば敵を斬る。
こう言われている:十年かけて一剣を磨き、剣を出せば必ず敵を斬る。
「私と'剣道'を争うとは」
齊明は深く息を吸い、傅塵雪を直視した。すでに風雲の巷に立っているのだから、齊明も恐れることはなかった。剣修は決して簡単に頭を下げてはならず、修行の道もまた簡単に屈してはならない。「まさに関公様の前で大刀を振るうようなものだ」
「身の程知らずめ」
カン!カン!カン!!!
言葉が落ちるや。
齊明の周身の霊力が震動し、体内の'混沌青蓮道基'が微かに選択され、五行剣意を表す花弁が微かに震えた。
そして。
五口の法剣も剣鳴りを発した。
「五行剣道」
齊明は軽く喝し、彼の背後から直接五色(黒、白、青、赤、黄)の剣光が飛び出し、五行剣道剣意の威力が全て解き放たれた。
バンバンバン!!!
見ると。
齊明と傅塵雪は目を合わせ、彼らの間の空間で、幾筋もの気爆の音が起こり、そして'バン'という音が響いた。
プッ!!!
傅塵雪の背後の藏劍異象は消え散り、血を吐き、よろめきながら後退し、蒼白な顔に信じられない衝撃が浮かんだ。
「お前は……」
傅塵雪は驚愕した。
「なんだと!?」
「これは五行剣道だ」
「傅塵雪が負けた」
「どうしてこんなことが?」
「これは……」
周囲では。
その場にいた全ての長老たちが震撼した。事態の展開が完全に彼らの予想を裏切り、真傳弟子になって三年の傅塵雪が、真傳弟子になってたった一ヶ月の齊明に負けたのだ。
その場で目撃していなければ、おそらくその場の全員が信じなかっただろう。
「師弟!」
呂清顏は驚きと喜びを隠せなかった。
「なかなかの五行剣道だ」
ドン!
突然。
また一人の真傳弟子の声が響いた。九極峰の真傳弟子で、彼は九極盛會法令を手に持ち、叫んだ:「九極峰真傳弟子'周康玟'」
「齊師弟の五行剣道を試させてもらおう!」
ゴォン!ゴォン!
法令が空を切り裂き、九極異象となって、空中で'九重天'を演化した。
九極。
すなわち九天。
カチッ!カチッ!
周康玟は直接彼の'道'を演化した。彼の'道'は'九重天道'、これは空間の道の進化であり、さらに九重天を形成した。