齊明のその浮遊感は消え、両足は地に着き、目の前の白い光が消えると、周囲の景色は見慣れた密室に戻っていた。
「戻ってきた。」
齊明は小声で呟いた。
ゴォン!
真正面に。
白い光が虚空に現れ、その白い輝きが消えると、宗主楊厲の姿が齊明の目の前に現れた。
「宗主様。」
齊明は礼をした。
「うむ。」
楊厲は軽く頷き、右手を振って密室の大門を開け、外へ向かって歩きながら言った。「行こう。」
「はい。」
齊明は後に従った。
実際。
齊明は細かく思い返してみると、昨日から今日にかけて、苗宏劍峰主が落雲峰に自分を迎えに来て天啓仙山で宗主楊厲に会わせてくれたこと。
そして宗主に会ってからの。
一連の出来事は。
とても穏やかだった。
齊明に大きな違和感を感じさせることはなかった。
確かに。
峰主苗宏劍と宗主楊厲は、齊明の修為の上昇が早すぎることに疑念を抱いていたが、それを態度や言葉で表すことは全くなく、正面から指摘することもなかった。
それが齊明に心地よさを感じさせた。
少なくとも。
齊明の反感を買うことはなかった。
言い換えれば。
齊明が以前から何かを薄々感じ取っていなければ、本当に苗宏劍は単に自分を宗主に会わせたかっただけだと思っていたかもしれない。
大殿の中。
楊厲は既に主座に戻り、蘇軽音は大人しく楊厲の右側に立っていたが、目の端で時々齊明を盗み見ていた。
苗宏劍は傍らに立ち、楊厲と目が合うと、密かにほっとした様子だった。
「齊明。」
楊厲が言った。
「弟子、ここに。」
齊明は一歩前に出た。
「これを取れ。」
楊厲は手を振ると、一つの玉簡が光のように飛び出し、齊明は手を伸ばして受け取り、黒金色の玉簡を手に握った。
「これがお前への褒美だ。」
楊厲は直接言った。「試合なのだから、お前が軽音に勝ったからには、当然褒美がある。これは結丹期の練體法術で、名を黒金真身という。お前の身を守る能力を高めてくれるだろう。」
「宗主様に感謝いたします。」
齊明は感謝しながら受け取った。
「宏劍。」
楊厲は手を振って言った。「齊明を連れて戻るがよい。」
「はい。」
苗宏劍は頷いて答えた。
「齊明。」