「七矢呪いの術」を使うには敵の本当の名前を知らなければならない。拝月魔教教主は三百年の時を経て蘇ったため、多くの人々は彼の名前を忘れてしまっていた。
元鳳自身もそれを知らなかった。
「私は知っています」
雷啓海が言った。
「長老、お願いします」
元鳳はほっと息をついた。暗くなっていた顔色が元に戻った。彼女は今回本当に終わりかと思ったが、幸い雷啓海長老が拝月魔教教主の名前を知っていた。
「姓は石、名は兆元」
雷啓海が言った。
「石兆元」
元鳳が言った。
「うむ」
雷啓海が頷いた。
「よし」
元鳳は躊躇わず、玉指を振り、指先の血で案山子に素早く「石兆元」という名前を書き記した。
そして。
元鳳は足で歩みを刻み、お札を取り出して符咒を結び、自身の真火で焼き尽くし、祭壇の案山子に軽く一礼した。
これで完了。
「これで終わりですか?」
傍らに立っていた弟子が尋ねた。
「ええ」
元鳳は頷いた。「これは始まりに過ぎない。これから七日間続く」
「なるほど」
二人の弟子は肩をすくめた。
「幻陣の陣盤!行け!」
シュッ!
雷啓海が右手を振り、陣盤を取り出した。これは幻陣の陣法で、陣盤が空を切り裂き、法力が発動すると、陣法が形成され、周囲を包み込んだ。
「この幻陣がどれだけ持つかわからない」
雷啓海は言った。「これからしばらくの間、むやみに外出してはならない。もし拝月教徒がこちらに近づいてきても、我々を発見しない限り、見なかったことにする」
「もし相手が気付いたら、即座に殺す。この情報を石兆元の耳に届けさせてはならない」
「わかりました」
「はい、長老」
二人の弟子は厳かに頷いた。
場面は変わって。
天源城内。
城主府。
齊明は「隔恆洞見」を通じて拝月魔教教主の石兆元を見た。
それは面長な中年の男で、黑髪は長く、後ろに垂れ下がり、自然なウェーブがかかっていた。両手は習慣的に胸の前で組まれ、顔には慈悲深げな表情を浮かべていた。
齊明が「隔恆洞見」を通じて石兆元を観察できたのは、元鳳と石兆元の間の因果の絡み合いを通じて石兆元の位置を特定できたからだ。
なにしろ。
齊明の現在の修為は高くなく、金丹の境地に過ぎず、真の「天眼通」を使うことはできず、見たい相手を自由に見たり、見たいものを見たりすることはできなかった。