「何者だ?」
内勁の老人は一掌を空に切り、驚愕した。
先ほどの一掌は確実に凌筱竹を殺すはずだったが、最も予想外の瞬間に、一つの人影が突如現れ、凌筱竹を連れ去り、彼の殺掌を避けた。
なんという速さだ!
庭の片隅で、凌筱竹は我に返り、凛とした姿の萧塵を見上げた。彼に救われたことを悟り、感謝の念が自然と湧き上がった。
「ありがと...」
「ありがとう」の言葉が終わらないうちに、萧塵は彼女を放し、淡々とした口調で言った。「君は横に退いていなさい」
凌筱竹は少し呆然とし、萧塵が前に出て、内勁の老人と戦おうとしているのを見て、急いで叫んだ。
「だめです!彼は『混元手の王昊』です。あなたは勝てません!」
凌筱竹の警告に、萧塵は耳を貸さず、平然と老人を見つめて言った。「今なら逃げられるぞ」