萧塵が教室に入った瞬間、前の席に座っていた夏詩韻は彼を見つめ続け、その眼差しは複雑で読み取れないものだった。
先日の誕生日パーティーで、萧塵が演奏した一曲は、彼女を魅了し、心を揺さぶった。
その時、彼女は萧塵に言いたいことがたくさんあり、聞きたいことも山ほどあった。
しかし、萧塵は一言も言わずに立ち去り、まるで冷水を浴びせられたようだった。
これは彼の自分への仕返しなのだろうか?
「萧塵?誰?みんな知ってるの?」
事情を知らない生徒が尋ねた。
夏詩韻の誕生日パーティーに参加したのはクラスの三分の一程度で、残りの三分の二は萧塵を知らなかった。
「彼は夏詩韻の幼なじみよ。その日、夏家で仙曲を演奏して、みんなを驚かせたの。わぁ、本当にかっこよかった!」
「えー、仙曲って、頭おかしいんじゃない?」