思いがけない人物の介入により、方鶴と灰色の服を着た中年の戦いは中断された。
「どなた様でしょうか?」
方鶴は拱手をしながら尋ね、同時に来訪者を観察した。
来訪者は七十歳を超えているように見え、両鬢は白髪だったが、その立ち姿は凛として、声は鐘のように響き、年老いた衰えの兆しは全く見られなかった。
七十歳の老人は方鶴を一瞥し、軽く鼻を鳴らして言った。「お前には私の名を問う資格はない!」
方鶴はその言葉を聞いて表情を曇らせ、冷笑して言った。「よろしい。そこまで傲慢なら、ご高招を拝見させていただきましょう!」
相手が邪魔をしようと、蕭塵に問題を起こそうと、敵として扱えばいい。だから方鶴は手加減するつもりはなかった。
出手するや否や、最強の技を繰り出した。
「焚炎九重波!」
内勁を集中させ、九重の気波が連続して放たれ、波が波を重ねる様は非常に恐ろしく、傍らの灰色の服の中年も色を変えた。
彼は先ほどまで方鶴を軽視していたが、今では自分が正面から対峙した場合、この一撃を防げるかどうか考えていた。
たとえ防げたとしても、相当な代価を払うことになるだろう。
蘭寧市第一の高手は、確かに一筋縄ではいかない。
「ふむ、なかなかの気勢だが、お前と私では基礎が違う。どんなに強い技を使っても私には通用しない」
方鶴の九重気波に対して、七十歳の老人は不気味な笑みを浮かべ、避けることもせず、一掌を繰り出した。
平凡な一掌が九重気波と衝突し、瞬時に圧倒的な勢いを見せた。
轟轟轟!
九重気波は次々と破られ、最後は方鶴本人に直撃した。
バン!
方鶴は雷に打たれたかのように吹き飛ばされ、擂台の下に落ちた。
衝撃的な光景に、会場は静まり返り、人々の顔に恐怖の色が浮かんだ。
「先...先天の境地!」
方鶴は既に內力絶頂だったが、必殺技を使用した状態で相手の一撃に重傷を負わされた。
これが先天の境地でなければ何だというのか?
その場にいた人々は、蕭塵を除いて全員が立ち上がり、表情には畏怖の色が浮かんでいた。
先天の境地は師範とも呼ばれ、門派を開くに足る存在だ。
華夏の內勁武者は数多いが、先天の境地に達した者はほんのわずかで、どこへ行っても尊敬を受ける。