週末の夜、夏詩韻は萧塵に電話をかけてきた。クラス会の件についてだった。
萧塵は少し考えた末、結局参加することにした。
家を出て交差点に着くと、遠くからピンクのワンピースを着た夏詩韻が待っているのが見えた。
そよ風が黒髪とスカートを揺らし、もともと美しい彼女をより一層魅力的に見せていた。通りを行き交う人々も皆、驚嘆の眼差しを向けていた。
萧塵の印象では、夏詩韻はプライドが高く、お嬢様然とした性格だったが、最近は様子が変わったようだ。何があったのかは分からない。
「萧塵!」
夏詩韻は萧塵を見つけると、魅惑的な笑顔を見せた。
「うん、行こうか」萧塵は言った。「会場はどこ?」
「ニューエイジホテルよ!」
……
ニューエイジホテルは蘭寧市に二つしかない五星ホテルの一つだった。
通常、学生の集まりで五星ホテルを選ぶことはない。贅沢すぎて、負担できないからだ。
しかし、今回の会は劉鑫が幹事を務め、費用も全て彼が負担すると言うので、みんな喜んで同意したのだった。
五星ホテルなんて、普通の家庭の学生は入ったことすらない。今回はいい経験になるだろう。
ところが萧塵と夏詩韻がニューエイジホテルの入り口に着くと、劉鑫が二十人ほどの同級生と共に入り口で警備員と言い争っているところだった。
「どうしたの?」夏詩韻が前に出て尋ねた。
「詩韻、やっと来たの!」
李珊珊が夏詩韻の前に駆け寄り、怒りの表情を浮かべていた。
「劉鑫はもうニューエイジホテルを予約していたのに、今になって入れてくれないの!」
夏詩韻は尋ねた。「どうして入れないの?」
「ここは既に貸し切られているからだ!」
ホテルの入り口で警備員が道を開けると、背の高い男子学生が出てきた。
「龐威?」夏詩韻は顔を曇らせた。「あなたの仕業なの?」
龐威は軽く笑って言った。「詩韻、今回は俺を責めないでくれ。ニューエイジホテルを貸し切ったのは兄貴の意向なんだ!」
「兄貴?」夏詩韻は少し驚いた。
他の全員も驚きの表情を見せた。
龐威は龐家の一人息子で、実の兄弟はいない。
しかし龐威は蘭寧の四天王の一人で、二番手だ。
彼が言う兄貴とは、間違いなく蘭寧の四天王のトップ、秦修傑のことだ!
……