凌筱竹は立ち止まり、時折父親と萧塵の方を見つめていた。
父は萧塵が王昊を倒したと聞いて以来、ずっと萧塵に会いたいと言い続け、才能ある者を求める気持ちを時折漏らしていた。
だから彼女は、父が萧塵に何を言おうとしているのか、おおよそ見当がついていた。
しかし、だからこそ彼女は矛盾した気持ちを抱えていた。
一方では、萧塵が父について来てくれれば、もっと萧塵と接する機会が増えるかもしれないと密かに期待していた。
しかし他方では、萧塵が竜城の是非に巻き込まれて抜け出せなくなり、彼の人生を台無しにしてしまうことを恐れていた。
「萧塵!」
萧塵が近づいてくるのを見て、凌筱竹は彼の方へ歩み寄った。
「凌さん、お元気で。縁があればまた会いましょう!」
萧塵はそれだけ言って立ち去った。