第54章 抗えない存在!

「ハハハ……」

狂気じみた笑い声とともに、黒い衣をまとった男が幽霊のように現れ、史永昌の傍らに降り立ち、萧塵を見つめた。

「史永昌、わざわざ私を呼び出したのは、こいつを相手にするためか?」

史永昌は言った。「孔幹事、彼は若いですが、間違いなく先天の境地に達しています。私一人では精々互角が関の山です。彼を倒すには、私たち二人で力を合わせる必要があります」

「そうか?」

黒衣の孔幹事は不気味な目つきで萧塵を見つめた。

「小僧、お前のような若造がどうやって先天の境地まで修練したのか、興味があるな。何か近道でもあるのか?」

萧塵は冷静に答えた。「近道ならありますが、お前のような愚か者には習得できませんよ!」

「ふん、口は達者だな!」孔幹事は冷ややかに鼻を鳴らし、不機嫌そうな口調で言った。

「孔幹事、状況が変わる前に、さっさと決着をつけましょう。何か聞きたいことがあるなら、やつを半殺しにしてから尋問すればいいでしょう」

史永昌は我慢できなかった、あるいは自信がなかったのかもしれない。

「史家長、何を焦っているんだ?我々これだけの人数がいるのに、まさか翼が生えて飛んでいけるとでも?」

孔幹事は気にする様子もなかった。

「孔某は久しく戦っていない。今日せっかく出てきたのだから、少しは楽しませてもらおうじゃないか!」

萧塵はそれを聞いて、興味深そうに尋ねた。「一対一で戦うつもりですか?」

「ウォーミングアップさ。十数年も先天レベルの強者と戦っていないからな、さすがに興奮するよ!」

「気をつけたほうがいいですよ。私にはあなたのようにウォーミングアップする気分はないかもしれませんから!」

孔幹事は一瞬固まり、冷笑した。「つまり、うっかり私を殺してしまうかもしれないと言いたいのか?」

「そういうこともありえますね!」

「若造、随分と大口を叩くな。私が先天の境地に達した時、お前はまだ乳を飲んでいた年頃だぞ!」

孔幹事は袖を払い、怒りの気が竜巻となって萧塵に向かって襲いかかった。

しかし萧塵は全く動じる様子もなく、白い衣が風に揺れるだけだった。

孔幹事は萧塵の顔に恐怖の色を探そうとした。相手が恐怖を感じてこそ、自分の強さが証明され、勝利の快感を味わえるからだ。

しかし彼は失望した。この必殺の状況下で、萧塵は恐ろしいほど平静を保っていた。