第53章 2人の先天!

「師範様は先天宗師なのに、なぜ史家があなたに面倒をかけようとするのですか?」

曹雁雪はまだ理解できないようで、言った:

「私の知る限り、史家の前家長、つまり南拳會の前会長は十年前に先天への突破に失敗し、ずっと半歩仙人のままです。」

半歩仙人の史家が、どうやって先天宗師と正面から対抗できるというのか?

これに対し、萧塵は淡々と言った:「半歩仙人が永遠に半歩仙人のままとは限らない。あの前会長の消息を聞かなくなってどれくらい経つ?」

曹雁雪は少し驚いて言った:「確かに、彼が退位してから、姿を消して長いですね。でも半歩仙人が先天に突破するのは、とても難しいはずでは?」

武道境界において、実際には半歩仙人という境地は存在せず、內力絶頂の武者が先天への突破に失敗した時のみ、半歩仙人に落ちるのだ。

言い換えれば、半歩仙人は一種の異常な状態で、体内に隠れた病があるのだ。

半歩仙人は內力絶頂よりもはるかに強いが、先天への突破は內力絶頂よりも更に困難だ。

「物事に絶対はない。困難だからといって方法がないわけではない。近道があるかもしれないだろう?」

曹雁雪は萧塵の言葉に含みがあることを察知し、尋ねた:「師範様は史家についてよくご存知なのですか?」

「私は古海市に来たばかりで、元々史家については何も知らなかった。しかし昼間、史文武と戦った時、彼の体内に特殊な力を感じ取り、史家が並の家柄ではないと確信した。」

「特殊な力?」

「ああ、あの力を解放すれば、彼の実力は少なくとも倍増する。しかし人前では遠慮があったのか、私に重傷を負わされても使おうとしなかった。」

萧塵が曹雁雪の件に介入したのは、一つには飛剣が彼と縁があったから、もう一つは史文武が力を隠していたからだ。

二人が話している最中、外から突然鋭い長い叫び声が響き、まるで悪鬼のように、夜空を震わせた。

同時に、雄大な声が響き、磅礴たる内勁を含んでいた。

「萧師範、南拳の史永昌がお目にかかります!」

言葉が落ちるや否や

轟音が鳴り響き、雷のように四方に響き渡った。

パリン!

瞬く間に、ホテル内のすべてのガラス窓、ガラスドアが衝撃を受け、粉々に砕け散った。

「これは...恐ろしい内勁!」

曹雁雪は沸き立つ気血を抑えながら、瞳に驚愕と恐怖を浮かべた。