霍家を離れた萧塵は、すぐには帰る気はなかった。
せっかく省都に来たのだから、この機会に観光でもしようと思った。
しばらく歩くと、誰かが影で付いてきているのに気づいた。
「この霍青松は……」
萧塵は霍青松が差し向けた者だと分かっていたが、気にせず、付いてくるままにしておいた。
霍家の件は少し複雑で、単に霍林が奇病にかかったというだけではなかった。
彼が省都に留まったのも、状況を観察したかったからだ。
……
萧塵は賑やかな繁華街を一回りしたが、蘭寧市とさほど変わらないことに気づき、少し退屈に感じた。
気がつくと、明月山に来ていた。
街中の喧騒とは違い、ここだけは景色が良く、空気が特に澄んでおり、わずかながら霊気の香りさえ漂っていた。
山道を登っていくと、途中で天然の滝を見つけた。十数丈の高さから流れ落ちる様は、とても壮大だった。