苗青霜は思いもよらなかった。たった一晩で、萧塵が本当に三尾霊狐を見つけられるとは。
いや!
見つけたとは言えない!
彼女と萧塵はここで一晩過ごしたが、全く動かなかった。彼女は途中で眠ってしまったほどだ。
三尾霊狐が自ら現れたのだ!
「一体どうやってやったの?」
苗青霜は萧塵の身に纏う神秘さに、ますます捉えどころのなさを感じていた。
「霊狐は人見知りだから、少し離れていてくれ!」入定中の萧塵が突然目を開いて言った。
「はい!」
苗青霜は躊躇わず、素早く離れた。
「ん?」
すぐに、彼女は周囲に異変を感じ取った。
「一晩の間に、谷の花や草が少なくとも半分は成長している!」
この発見に、苗青霜は大きな衝撃を受けた。
強大な武者は、山を裂き、海を翻すほどの破壊力を持っている。
しかし、谷の植物を大規模に成長させることは、どんな武者にもできないはずだ。
これはもはや力の範疇を超えている!
それに、こんな環境で眠れたなんて、一晩中ぐっすりと。
こんなに気持ちよく眠れたのは、いつ以来だろう!
……
萧塵は苗青霜の驚きに気付いていなかった。彼の注意は今、近くの草むらにいる子狐ちゃんに完全に向けられていた。
子狐ちゃんは明らかに萧塵の身から発する霊力の気配に引き寄せられてきたのだ。
草むらに隠れて様子を窺い、潤んだ瞳で萧塵を見つめ、近づきたいような、でも怖いような様子だった。
「おいで、小さな子」
萧塵は手を差し出し、優しい笑みを浮かべた。
子狐ちゃんは首を傾げ、萧塵の言葉が理解できないようだった。
前足を出しかけては引っ込め、何度も繰り返し、躊躇している様子だった。
萧塵はその様子を見て、思わず苦笑した。
この小さな子は生まれてまだ間もないようで、とても純真だ。
「あそこだ、あそこにいる、捕まえろ!」
突然の叫び声に、子狐ちゃんは驚いて、「シュッ」と萧塵の懐に飛び込んできた。
「えっ……」
萧塵は予想外の展開に驚いた。
まだどうやって誘い込もうか考えていたのに、思いがけず簡単に手に入ってしまった。
子狐ちゃんは萧塵の懐で丸くなり、とても気持ちよさそうだったが、少し怯えているようで、柔らかな体が震えていた。
「安心して、私がいる限り、誰も君を傷つけさせない!」
萧塵は手で雪白の毛並みを優しく撫でた。