「兄貴!」
最初の戦いで梁川を倒した、於天野という名の黒衣の者が飛び出し、萧塵を退けようとして于任通を救おうとした。
しかし、彼が拳を繰り出すと、萧塵は手で受け止め、巧みに手首をひねると、拳勁が自分自身に返ってきた。
ドン!
於天野は自身の拳勁を受けて、横に吹き飛ばされた。
他の黒衣の者たちも前に出ようとしていたが、全員が呆然と立ち尽くした。
羅青、于任通、於天野は萧塵の手にかかって全く反撃できず、彼らが出て行っても無駄だろう。
そのとき、深い声が響いた。
「彼らのことは放っておけ、撤退だ!」
この命令を受けて、四人の黒衣の者たちは躊躇なく、羅青を連れて素早く去っていった。
萧塵は外にまだ高手がいることを知っていた。これが彼がずっと手を出さなかった理由だった。
彼は隠れている高手が姿を現すのを待っていた。