「兄貴!」
最初の戦いで梁川を倒した、於天野という名の黒衣の者が飛び出し、萧塵を退けようとして于任通を救おうとした。
しかし、彼が拳を繰り出すと、萧塵は手で受け止め、巧みに手首をひねると、拳勁が自分自身に返ってきた。
ドン!
於天野は自身の拳勁を受けて、横に吹き飛ばされた。
他の黒衣の者たちも前に出ようとしていたが、全員が呆然と立ち尽くした。
羅青、于任通、於天野は萧塵の手にかかって全く反撃できず、彼らが出て行っても無駄だろう。
そのとき、深い声が響いた。
「彼らのことは放っておけ、撤退だ!」
この命令を受けて、四人の黒衣の者たちは躊躇なく、羅青を連れて素早く去っていった。
萧塵は外にまだ高手がいることを知っていた。これが彼がずっと手を出さなかった理由だった。
彼は隠れている高手が姿を現すのを待っていた。
しかし、その者は出てくる気配がなく、ずっと外から観察していた。羅青が重傷を負っても、なお冷静さを保っていた。
萧塵は追いかける気はなかった。そもそもこの者たちとは恨みはなかったのだ。
今、彼が唯一興味があることの答えは、于任通から得られるはずだった。
「仲間たちはお前を見捨てたようだな。今なら私の質問に答えられるか?」萧塵は再び尋ねた。
于任通は重傷を負い、今日はもう生き延びる可能性がないことを悟り、逆に萧塵に冷笑を向けた。
「殺すなり切り刻むなり好きにしろ。だが私の口から一言でも情報を得ようと思うなら、無駄な努力はやめておけ!」
「聞いたのは、最後のチャンスを与えるためだ。だが大切にしないというなら、少し残酷な方法を取るしかないな」
「何をする気だ?」
なぜか、于任通は本能的に恐怖を感じていた。
死さえも恐れない彼が、なぜ恐怖を感じるのか?
萧塵は説明せず、足で地面を蹴ると、于任通の体が宙に浮いた。
そして、萧塵は手を上げ、于任通の頭に当てた。
異能力を発動し、萧塵の神識力が于任通の脳内に侵入し、強引に記憶情報を引き出した。
魂探りの術!
この功法は非常に強力で、人の霊魂を強制的に探り、相手の全ての記憶を得ることができる。
そして魂を探られた者は、霊魂に大きなダメージを受け、白痴になってしまう。
魂探りの術は確かに人道に背くもので、通常は邪道の功法に分類される。